秒速地球4周のスピードで陽子線を照射する装置。360度回転し、どの角度からも当てられる=1月、福井県福井市の福井県立病院陽子線がん治療センター

 ヨガ教室で顔をマットに着けるとあごが痛かった。滋賀県彦根市の女性(40)は、そのたび顔の角度を変えた。日常生活に不便はなかったが、次第にのども痛くなってきた。

 歯科医や耳鼻科では原因が分からず、滋賀県内の総合病院に行った。その間に口が大きく開けられなくなり、一口サイズの栄養補助食品すら食べづらくなった。2013年8月、5センチ大の舌下腺がんが見つかった。34歳だった。舌を全摘出し、太ももの肉で再建する手術を提案された。

 愛知県の病院でも全摘出を勧められた。全摘だと「らりるれろ」が発音できなくなり、味覚も元には戻らないと言われた。絶望したがどうしようもなく、手術日程を組んだ。

 知人が持ってきた記事の見出しに「食道、舌、前立腺がん 『夢の粒子線』は10年後の標準治療」とあった。切らずに済む治療法が書かれており、わらにもすがる思いで読んだ。

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 セカンドオピニオンのつもりで、すぐに兵庫県立粒子線医療センターへ向かった。医師から「あなたの人生はあと50年ある。舌を取ってはいけない。手術をすれば(傷跡が残り)外出もしなくなるだろう」と言われ、初めて自分の思いが理解された気がした。

 放射線の一つ、粒子線治療には水素の原子核を利用した陽子線と、炭素イオン線などを使う重粒子線治療がある。陽子線と抗がん剤治療を並行してやれば、5年生存率は上がるという説明も受けた。

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