東京五輪・パラリンピックで日本選手団が着用する公式スポーツウエアが発表され、ポーズをとる選手ら=2月21日、東京都中央区

 東京五輪・パラリンピックで日本選手団が着用する公式スポーツウエアがお披露目された。コンセプトは「ジャポニズム」。日の出の力強さを表現した鮮やかな「サンライズレッド」を基調とし、デザインには伝統的な図柄も取り入れた。

 機能性も従来のものより大幅に向上させ、日本の「伝統美」と「先進技術」を掛け合わせて、選手団の強さを表現したという。

 五輪・パラは新型コロナウイルスの影響で1年程度の延期が決まったが、ユニホームが日の目を見る日が楽しみだ。

 パラスポーツを担当する記者として注目したのが、提供メーカーのアシックスが開発のテーマの一つとして挙げた「ダイバーシティー(多様性)」にかかわるポイントだ。

 表彰式などで着用するジャケットのファスナーには、新しいタイプのファスナーを採用。ボタンのように重ね合わせて押すだけで閉じることができる機能があり、より簡単に脱ぎ着が可能になった。

 シューズの着脱がより楽にできるように、履き口を広くするなど改善を図った。

 発表会見に出席した車いすラグビーの倉橋香衣選手が強調したのは、ジャケットの袖の部分のデザインだ。

 先端の袖口の部分が黒の厚めの素材でつくられており、汚れが目立たないような工夫が施されている。車いすをこぐ時に車輪と袖が擦れるというパラ選手の意見をもとに採用されたデザインだといい、倉橋選手は「袖の部分だけ素材が変わっていて、車いすを動かす時に(汚れて)黒くならないのがありがたい」と感謝した。

 メッシュ素材のジャケットは、汗が出やすい場所は網目を粗くするなどの独自のパターンを開発し、2016年リオデジャネイロ大会のウエアに比べて5倍の通気性を実現した。

 脊髄損傷の選手は体温調整が難しいケースも多く、車いすラグビーの中町俊耶選手は「通気性がいいウエアで、調節しやすくていい」と気に入った様子。個人的には、機能性とデザインがきちんと融合されていることに感銘を受けた。

 アシックス役員の千田伸二氏は「ダイバーシティーは重要なテーマの一つ。一つのチームを意識しながら、一人一人が輝けるウエアを目指した」と説明する。

 五輪選手のほか、パラ選手にもヒアリングを行ったという。「何に不自由されているのかをお聞きして、サンプルを作成した。(障害者のニーズは)健常者への商品開発にも活用できる。新しい意見が出て、新しい商品開発に結びついた」と胸を張った。 

 五輪とパラの日本選手団が同じ公式スポーツウエアを着用するようになったのは1989年長野冬季大会から。

 今回の東京大会では「共生社会の象徴」として、開会式の入場行進で着用する公式服装も初めて統一された。

 パラ選手団長を務める河合純一・日本パラリンピック委員会(JPC)委員長は「大きな一歩。多様性を認め合える社会への第一歩を踏み出せる大会になればいい」と期待する。

 東京大会の公式ウエアにちりばめられたユニバーサルデザイン。障害の有無や年齢、性別などに関係なく、できるだけ多くの人が利用しやすい製品や施設が社会に当たり前に浸透していくことが、共生社会実現への一里塚になる。

鉄谷 美知(てつや・よしとも)プロフィル

2002年に共同通信入社。福岡支社、大分支局、大阪支社運動部を経て、12年から本社運動部。ロンドン、リオデジャネイロ両五輪、サッカーW杯ブラジル大会を取材し、現在はパラスポーツなどを担当。仙台市出身。

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