【論説】「サバの日」の3月8日、小浜市鯖街道ミュージアムが同市広峰の鯖街道の起点「いづみ町商店街」にオープンした。文化庁の日本遺産に認定された鯖街道は、小浜から京都へ、海産物をはじめさまざまな物資が運ばれ、人や文化の交流が深まるきっかけになった道。いにしえの若狭人に思いをはせ、歴史的価値をあらためて学び直せる場として、市民にも、観光客にも愛される空間にしたい。

 もともと商店街には鯖街道資料館があったが、市内を東西に貫く都市計画道路「小浜縦貫線」の拡幅工事に伴い取り壊された。地元住民からの提言を受け、市が約6300万円をかけて整備した。

 展示施設は木造平屋約63平方メートル。従来の3倍になった展示スペースには鯖街道をたどるコース図が展示されている。鯖街道の峠越えに使った牛馬のくらや網かご、サバの水揚げでにぎわった当時の港の写真も並ぶ。京都伝来の六斎(ろくさい)念仏、和久里壬生(みぶ)狂言、放生祭(ほうぜまつり)など祭礼も紹介され、鯖街道の育んだ歴史、文化が一目で分かる。開館初日に見学した市内の夫婦は「当時使った網かごが残っているのがすごいと思った」「伝統行事などは京都との近さをあらためて実感した」と感想を語っていた。

 施設の前に整備された広場(約350平方メートル)にはちょっとした仕掛けがある。「京は遠ても十八里」(京都まで遠いと言ってもせいぜい約72キロ)と若狭人が歩いた鯖街道はいくつものルートがある。そのうち最短コース「針畑(はりはた)越え」と、熊川宿を通り最大の物流量を誇った「若狭街道」という2ルートを模した築山が左右に設けられている。京都までの道のりを体感でき“踏破”も可能だ。

 一定のアングルで撮影するとサバが飛び出すように見えるトリックアートも楽しい。4月以降、運営を委託される小浜地区まちづくり協議会の会員らが常駐する。解説があれば、理解はぐっと深まりそうだ。

 今後、展示品を入れ替えて充実させるなど、飽きさせない工夫や、もてなし力のアップが欠かせない。若狭町熊川の道の駅「若狭熊川宿」にある鯖街道ミュージアムと連携して、相乗効果を生み出したい。

 新ミュージアムは市中心部にある。市まちの駅・旭座が近く、少し足を延ばせば町家や寺社建築物など古い町並みが残る「小浜西組」地区がある。新たな観光拠点の完成は、まち歩きの観光客を増やすチャンスだ。

 まずは市民が足を運び、学び、楽しみ、鯖街道に誇りを持ちたい。

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