【越山若水】江戸時代の寺子屋は現在の小中高校の前身といえるものだろう。越前市武生公会堂記念館で開催されている企画展「読み・書き・そろばん 学びの心得」で、その寺子屋が多面的に取り上げられており興味深い▼先生役は手習い師匠で学識のある神主、僧侶、医者らが務め、自宅の一部を開放、教室とし、おおむね6歳から13歳の寺子が通っていたらしい。読み書きが中心だったがそろばん、謡曲、楽器などの稽古事もあった▼使用された教科書は「往来物」と呼ばれ、1828(文政11)年刊行の「絵本庭訓往来」は葛飾北斎の挿絵入りだった。日常生活のしつけを扱った教訓科をはじめ地理、産業など幅広い専科があった▼江戸時代には一冊の漢字学習本が大ヒットし、明治までに出版は20回を超えた。「小野篁(たかむら)歌字尽」。同じ偏や冠の漢字を一まとめにし歌に仕立てた。例えば木偏は「春つばき(椿)夏はゑのき(榎)に秋ひさぎ(楸)冬はひらぎ(柊)に同じくはきり(桐)」といった具合▼昨今、小学校で習う漢字を学年ごとに網羅した「うんこ漢字ドリル」が人気を呼んだことは記憶に新しい。新型コロナの感染抑止を狙った一斉休校の影響で、子ども向け学習ドリルの売れ行きが急増しているとか。望んでもいなかった休みを強いられる子どもたち。せめてストレスを解消できる“令和の一冊”が誕生してほしい。

関連記事