ドクター相談室

 人間ドックで肝機能の数値(GPT、GOT)が「正常値より高い」と分かりました。脂肪肝かもしれないと心配です。飲酒は全くしませんし持病はありませんが、運動不足気味でここ数年で体重が約5キロ増えました。お酒は飲まないのに肝臓が悪くなることはあるのでしょうか。(58歳女性)

【お答えします】真田拓・福井県済生会病院内科医長

■「非アルコール性」でも脂肪肝の恐れ

 GOT(AST)・GPT(ALT)は、肝細胞が壊れて血液中に出てくる酵素で、この値は肝臓の働きではなく炎症の程度を意味します。GOTは肝臓のほか、心臓・骨格筋・腎臓・赤血球にも含まれ、これらの障害の際にも上昇します。GPTも他臓器に存在しますが、肝臓に含まれる量が多いため、GOT・GPTの両方が高値の場合は肝細胞が壊れているといえます。

 値が上昇する原因には、B型肝炎やC型肝炎などの肝炎ウイルス、アルコール、自己免疫性などの特殊な病気、薬物や健康食品・サプリメントの服用、肝がんなどの腫瘍や胆石などが考えられます。まずは肝臓専門医を受診してください。2次検診では、現在の状態が急性なのか慢性なのか、ウイルス性かそれ以外なのか、肝障害の程度が軽いのか進行しているかなど、病歴聴取や血液検査、超音波やCT・MRIなどの画像診断で総合的に診断します。

 さて、日本では約30%の人に肝障害があるといわれています。肝障害の主な原因であったウイルス性肝炎は治療の進歩により減少している一方で、アルコール、食事の欧米化に伴う肥満・生活習慣病による脂肪肝が増加しています。そのうち飲酒習慣のない脂肪肝を、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)といい、男性は30代後半から、女性は閉経以降に増加します。この病気は、脂肪の蓄積のみで進行しないものから慢性に炎症が起こり最終的に肝硬変になるものまであります。肥満の合併が多いものの、非肥満者や小児にもみられ社会的問題となっています。

■運動と食事で生活習慣改善

 質問者は飲酒歴や持病がなく、運動不足気味で体重増加があることから、画像診断で脂肪肝があり他の原因が否定されているのであれば、NAFLDと考えられます。診断は、組織採取(生検)、超音波やMRIで行いますが、最も重要な因子が肝臓の硬さ(線維化)であることが分かり、線維化の高度な方は肝硬変への移行や肝細胞がんの発生が多く、心臓血管病や他臓器がんが多いため、進行例を見つけ出すことが重要です。

 治療は運動や食事などの生活習慣改善が第一です。管理栄養士に相談し食事のメニューを検討するのも良いでしょう。現体重の7%の減少で炎症が改善するともいわれますが、なかなか難しいので、脂肪化が取れる3%の減少を目指してください。

 現在NAFLDの確立された治療はありませんが、糖尿病などの生活習慣病の治療薬の効果が確認され、また、さまざまな新規治療薬も開発が進められています。

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