感染拡大防止のための全事業中止を知らせる張り紙=3月19日、福井県福井市東藤島公民館

 新型コロナウイルスの感染が3月18日に確認された福井県福井市の50代会社役員男性は、発症後もほぼ連日、37・5度未満の微熱にとどまっていた。せきの症状もなく感染を疑いにくかったとみられ、福井県内の母親らは「感染していても気付けないかも」と心配を募らせる。県外出張のリスクも改めて浮かび上がり、県外へ出掛ける会社員から不安の声も。感染者が確認されずに、自粛ムードが緩まろうとしていた県内に動揺が広がった。

 男性が発症後、厚生労働省が受診の目安としている37・5度以上の発熱があったのは3月13日だけだった。保育園児の長女が3月上旬に風邪で発熱したという福井市の30代女性は「微熱で様子を見ながら家で過ごしていた。感染を疑いもしなかったけれど…」と戸惑いの表情。小学生の長男がいる同市の女性(37)は「微熱だったら風邪だと判断すると思う。手洗いやうがいをして気をつけるしかない」と困惑していた。

 男性は3月6~8日と10~12日に東京に出張していた。県内企業の採用担当者は、会社説明会のため東京や大阪などへの出張が多く「どこで感染するか分からないので怖い」。それでも「優秀な人材を獲得するためには出張をせざるをえない」とし、電車の混雑する時間帯を避けるなど感染予防に努めると話した。

 多くの高齢者が通う福井市内のデイサービス施設の管理者は「厳戒態勢で面会も控えていたけれど、さらに徹底していくしかない。症状がなくても(感染を)判断できない。未曽有の事態」と表情をこわばらせた。

 市東藤島公民館では、4月1日までの利用中止を伝える張り紙が出され、主事は「公民館の事業に限らず、町内の草刈りなどもどうするか考えなければ。どこまで自粛すればいいのか」と声を落とした。

⇒濃厚接触者の情報「答えられない」連発

 感染への警戒感が強まる一方で、「県内1人目が確認されたからといって騒ぎ立てるのもどうか。パニックにならないようにしたい」(福井市の女性)と冷静な受け止めも聞かれた。

 ■新型コロナウイルスと発熱 政府の専門家会議によると、感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっており、重症化した人の約半数は回復している。最初は微熱など普通の風邪の症状で、重症化するかどうかの区別がつきにくい。厚生労働省は、風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く―などを相談の目安に示している。

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