【論説】新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が瀬戸際に立たされている。主要各国は企業の資金繰り対策や雇用の維持、家計支援などを柱とした経済対策の検討を急いでいるが、何が有効な策なのか模索が続く。感染抑止とともに景気の維持、浮揚に向け各国が協調し手だてを尽くす局面だ。

 中央銀行も金融緩和策などを相次いで打ち出している。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)による緊急利下げは不発に終わった格好だ。トランプ大統領の景気後退発言の影響も否めないが、感染抑止のためのイベントなどの自粛や移動制限による経済活動の停滞・縮小を招いている中では、需要刺激策としての利下げの効果は限界がある。

 資金繰り支援としては、企業が資金調達のため発行するコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れ規模の拡大が有効とされる。日銀はこれに加え、金融機関を通じた企業への資金繰り支援の枠組みを打ち出した。FRBもCPを購入すると発表。ムニューシン財務長官は「FRBは最大1兆ドル(約107兆円)購入できる。市場にとって大きな安定をもたらす」と評価している。

 各国政府による財政出動も欠かせない。トランプ米政権は1兆ドルの経済対策を検討しているという。家計に対する現金給付などで消費低迷を回避し、不振にあえぐ航空会社やホテル業界も支援するとしている。ただ、実現には議会の承認が必要となり、11月の大統領選を控え、し烈な駆け引きも想定される。

 今や感染の「主戦場」と称される欧州では、欧州連合(EU)が非EU市民の入域を30日間制限するなど思い切った措置に加え、各国が近隣国との国境封鎖や外出制限、飲食店の閉鎖などに乗り出している。雇用や家計への支援策としてユーロ圏諸国は、景気下支えに向け国内総生産(GDP)の約1%(約14兆2千億円)に相当する財政措置を講じると確認した。

 先進7カ国(G7)首脳は16日夜の緊急テレビ電話会議で「あらゆる措置を取る」ことを確認した。これを受け安倍晋三首相は自民党会合で「経済をV字回復させなければならない。思い切った強大な経済政策を前例にとらわれず大胆に練り上げよう」と訴えた。与党議員からは30兆円規模を求める声も出ている。

 子育て世帯への現金給付や中小企業への減税措置といった案のほかに、消費税の引き下げや全国民への現金給付といった策も取り沙汰されている。厳しい財政事情も無視できないし、終息が見通せない中で、外出を促し感染拡大を招く恐れもある。一長一短が指摘される中、真に有効な対策なのか精査は欠かせない。

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