【論説】関西電力の役員らが高浜町元助役の森山栄治氏(故人)から金品を受領した問題を巡り、第三者委員会が報告書を発表した。関電は同時に社長交代などの人事を発表したが、これで幕引きとはならない。第三者委委員長の但木敬一元検事総長が会見で時間の制約などから「完全とはいかない」と述べたとおり、全容が解明されたとは言い難い。国会や政府は真相究明に注力しなければならない。

 問題は、第三者委報告で関電が元助役の要求に応じ、原発関連工事などを元助役が関係する企業に発注していたと認めたことだ。関電は昨年10月の社内調査報告を基に「発注プロセスと発注額は社内ルールに基づき、適正だった」と強調してきた。第三者委は元助役とのやりとりを巡る社内の電子メールなど根拠を挙げ不正と認定、関電の主張は根底から崩れた格好だ。

 元助役の意図・目的についても関電は「権威の誇示」「礼儀の実践」と説明していた。だが、第三者委は「見返りとして関係する企業へ工事の発注を行わせ、企業から経済的利益を得る仕組みを維持することが目的とみるのが自然」と断じている。高浜原発3、4号機の増設に不透明な手法を使うなどして貢献した一方、1987年の助役退任直後から金品を贈って関電役員らと「共犯関係」を築いていったという。

 関電は社内調査で自らが被害者であるかのような主張を繰り返してきたが、第三者委が取締役会での論議や問題の公表を避けて封印を図った当時の八木誠会長らの姿勢を厳しく批判したのは当然だ。加えて、1億円以上の金品を受領し、個人所得として修正申告した元副社長らの税負担分を役員退任後に関電が補塡(ほてん)すると決定していたことも問題が残る。第三者委が、電気料金を負担するユーザー目線で考えた様子がないと指摘したのももっともだ。

 立地地域との共生は欠かせないが、不透明な地元重視は弊害が大きい。元助役が関係する企業が受注額を伸ばす一方で、除外される地元企業も少なくなかったはずだ。関電は、工事費から金品が捻出されてきた原発マネーの闇を重く受け止めるべきだ。テロ対策施設を巡っては労災事故が相次いでいる。利益至上主義から工事が優先されるような状況は是正すべきだ。

 役員らについては背任など4容疑で市民団体が告発状を大阪地検に提出している。損害の支払いを求める株主訴訟も準備されている。責任追及の一助になるよう期待したい。一方で「第三者委の調査を待つ」としてきた政府、与党は真摯(しんし)に解明に向き合うときだ。野党が要求した参考人招致など真相解明に本腰を入れなければならない。

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