【越山若水】「近寄るな咳する人に」「含嗽せよ朝な夕なに」「鼻口を覆へ 他の為にも身の為にも」―。これは今から約100年前、スペイン風邪と呼ばれる新型インフルエンザのパンデミック(世界的大流行)が起きた際、内務省が国内で配布した標語である▼今回の新型コロナウイルス感染症への対応で、安倍晋三首相は全国の学校への休校要請に際し、スペイン風邪を参考にしたという。米国で大きなイベントを中止し、休校を行った州とそうではない州では、死者の数、ピークの高さに大きな違いが出たことを踏まえた▼世界保健機関(WHO)は、遅まきながら「パンデミック」と表明。トランプ米大統領は、感染拡大防止のため、英国を除く欧州から米国への入国を停止すると発表した。感染症の恐怖が世界を覆い、対応に追われている▼スペイン風邪では世界中で5千万人前後が死亡し、福井県でも6千人以上の死者が出たと推定されている。もっとも当時は病原体が分からず治療薬もなかった。日本では学校や工場の閉鎖とともに、今と変わらない感染症予防策が取られた▼マスクの着用も奨励されたが全く足りず、高等女学校などでも作製された。約2年で流行は終息。感染症を乗り越え今日がある。第1次世界大戦中の当時と比べ、感染症への知識は深まり医療も格段に進歩している。勇気をもち冷静に対応したい。

関連記事