「持続可能な社会を目指す、将来のエネルギーを考えるシンポジウム in 福井」が1月16日、福井市のハピリンで開かれました。経済産業省資源エネルギー庁が主催。「輝く地球、脱炭素化への挑戦」をテーマに、国のエネルギー基本計画を踏まえたエネルギーミックスや脱炭素化の実現に向けて、約120人の参加者が、わが国の持続可能なエネルギー確保と、二酸化炭素(CO2)削減に向けた課題などについて理解を深めました。

基調講演

 

「今、注目する三大サイエンスニュース ~AI、地球温暖化そしてエネルギー~」
竹内 薫 氏 (サイエンス作家)

 

 今、第4次産業革命が来ています。人工知能(AI)の活用が広がり、次期通信規格の第5世代(5G)移動通信システムで情報流通のハイウェイが太くなり、量子コンピューターの開発も大きな局面を迎えています。

 将来、人間の仕事の約半分をAIとロボットが代替すると予測されています。そのAIやロボットなどは、考えたり動いたりするのに電気が必要です。電気を増やさないと第4次産業革命は支えられません。その電力をどうするかは、大きな課題です。

 18世紀に英国で起きた産業革命以来、人類は化石燃料を活用して経済を効率し、食料生産も増えて、人口が増えました。エネルギーが足りないと、将来の人口を支えられるかどうか分かりません。

 また、現在は化石燃料を掘り出し、使い続けてきたことでCO2が排出されて温暖化が進んでいます。その結果、過去に地球で起きたことのない早さで種の「大量絶滅」が進んでいるともいわれています。

 地球温暖化の一番大変な問題は、実はここにあります。どうやって化石燃料の使用を減らし、温暖化を防いでいくかを、シンポジウムの中で考えていきましょう。

パネルディスカッション

「脱炭素化に向けて~エネルギーの未来~」

【パネリスト】

竹内 薫 氏 (サイエンス作家)

伊藤 聡子 氏(フリーキャスター、事業創造大学院大学 客員教授) 

 

山口 彰 氏 (東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 教授)

 

覚道崇文 氏 (経済産業省資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官)

 

コーディネーター 大東 めぐみ 氏 (タレント、フリーキャスター、レポーター)

 

※肩書きはシンポジウム開催時

 

【想定外の災害で、脅威が身近に】

大東 近年は地震や台風による停電など、異常気象の被害が生活に密着した所で起きています。

伊藤 想定を超える災害が相次ぎ、脅威が身近に迫っていることを感じます。一方で日本が「化石賞」を贈られて地球温暖化対策に消極的だと国際社会から指摘を受ける中で、私たち自身もCO2を出さないエネルギーを選択していく必要性を感じています。

大東 世界は、どのように温暖化対策に取り組んでいますか。

覚道 再生可能エネルギーへの期待は大きく、投資が進んでいますが、全てを賄える状況ではありません。

【主力電源として、導入進む再エネだが…】

大東 環境に優しくクリーンですが、課題も多いということですね。

覚道 2018年に国が策定した第5次エネルギー基本計画では電力の22-24%を賄う主力電源と位置づけ、水力や太陽光を中心に導入は着実に進んでいます。一方で、コストの問題も大きく、2019年は家庭の電気料金の約10%を、導入の後押しとして負担していただいています。

伊藤 一方で再生可能エネルギーは日照時間の多い太平洋側での太陽光や、山間での小水力などいろんな選択肢、可能性がある。こうした地域の特色を活かしたエネルギー源が分散してあると、災害時のリスクヘッジにもなるのではないでしょうか。

“現実的”なエネルギーと向き合う】

大東 脱炭素化に向けては、原子力についても考える必要があると思います。ただ、原子力については、福島第一原子力発電所の事故以降、国民が懸念を感じています

山口 福島の事故の教訓を踏まえ、日本の原発の新しい規制基準では、自然災害などの外部事象への対策が非常に進んでいます。原子力は長期的に安定的でコストも合理的なエネルギーであり、しっかり保全(=手入れ)とモニタリング(=健康診断)をしていけば、40年を超えても、相当使っていけると理解しています。米国では90%以上が60年運転をし、最近は80年運転も認可されました。

覚道 安全性を大前提に安定供給、経済性、環境性の3つの目標の達成を目指す2030年のエネルギーミックスでは、原子力の構成は20-22%とされています。科学的・技術的に審査し、原子力規制委員会に認められた40年を超えての原子力発電の再稼働についても、エネルギーミックスの実現を達成する上で必要であると考えています。

【感情論抜きで、エネルギーについて考えよう】

大東 温暖化対策や脱炭素化には、エネルギーを使う全員が考えなければならない問題がたくさんありますね。

竹内 地球温暖化は確実に進んでおり、ほとんどの気候学者が人為的な理由でCO2が増加していると指摘しており、感情論抜きに温暖化の危機を伝えていく必要があると考えています。

伊藤 オーストラリアの森林火災は止まらず、その影響が新しい災害につながりCO2の増加や温暖化は雪だるま式に被害を生むのではないか。そう考えると、資源のない島国で、CO2を出さずに経済を安定させるために何が必要なのかを、冷静に考える必要がありますね。

大東 生活や命を支える大切なインフラであるエネルギーについて、さまざまな選択肢についてよく知り、考えて未来の判断していくことが重要ですね。
 


経済産業省資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/

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