【論説】新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府は緊急対策の第2弾を決定した。安倍晋三首相は約4300億円の財政措置を講じると表明した。活用するとしていた2019年度予算の予備費約2700億円から積み増した格好だ。

 首相は対策決定に合わせて、大規模なイベントの開催をさらに10日間程度自粛するよう要請した。政府専門家会議が表明していた「1~2週間が瀬戸際」との期間が過ぎても、国内外で感染者が増え続けている以上、やむを得ない。

 問題は、終息がいまだに見通せないことだ。専門家会議のメンバーからは「インフルエンザのように暖かくなると消えるウイルスではないため、闘いは数カ月から半年、年を越えて続くかもしれない」との認識が示されるなど、長期化の恐れが否めない。

 与党内から「終わらない瀬戸際」との声が上がり、株式・為替市場も経済への打撃が深刻化するとの予想から動揺が広がっている。今回の対策では、予算の6割近くが小中高校などの一斉休校関連に投じられ、対症療法の側面が強い。今回だけにとどまることなく、柔軟かつ幅広い手だてを切れ目なく尽くすべきだ。

 第2弾の柱の一つは、休校で子どもの世話を余儀なくされ仕事を休む保護者への収入補償だ。厚生労働省は勤め先を通じて日額8330円を上限に助成することを決めていたが、新たに個人で請け負うフリーランスを加え、日額4100円を助成する。

 フリーランスは全国で300万人に上るとされ、今回対象としたことは働く親に幅広く安心感を持ってもらえる点では評価できるだろう。ただ、金額は半額以下にとどまり、申請に必要な手続きが決まっていないなど問題も残っている。

 柱のもう一つは、中小・個人事業主を対象にした資金繰り支援だ。日本政策金融公庫などを通じて「実質無利子、無担保の融資を行う」(安倍首相)としており、そのための特別融資制度を創設する。金融庁も民間金融機関に貸出金利の引き下げや返済期間の猶予など支援強化を要請した。

 資金繰りに窮しやすい年度末が重なったことで、事業者の不安は尽きない。一方で、新型コロナの終息が見えない中で、融資を受けても返済できるかどうか分からず、迷う事業者も少なくない。特に体力のない地方の事業者は悩ましい。

 自民党は「臨機応変に補正予算を検討すべきだ」との提言をまとめた。野党から審議中の20年度予算案の組み替えを求められることを危惧する政府にあえて進言したという。春以降、景気が一段と悪化する恐れがある。首相はちゅうちょしている場合ではない。

関連記事