新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 ぜんそくの治療に使われている吸入ステロイド薬で、新型コロナウイルスによる肺炎の症状が改善したとする症例報告があり、注目が集まっている。報告したチームは「この症例のみで効果を論ずることはできない」として、多施設共同研究で薬の効果や適切な使用法を検証する。日本感染症学会は薬を使った症例の報告を呼び掛けている。

 神奈川県立足柄上病院と愛知医大のチームは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船し、感染が判明して搬送された60~70代の男女3人の治療経過を公表。3人は入院後、酸素の補給量が増加するなど徐々に悪化したが、国立感染症研究所の実験でウイルス増殖を抑える効果のあった吸入ステロイド薬の「シクレソニド(商品名オルベスコ)」を使用したところ、症状が改善したとしている。

 詳しい仕組みは分かっていないが、吸入で肺の奥まで薬が届くと、ウイルスの増殖や炎症を抑える効果が期待できるという。ただ不適切な使い方をすると、薬が効かない耐性ウイルスが出現する恐れがある。

 オルベスコは気管支ぜんそくの治療薬として承認されており、ぜんそく患者の使用分確保も課題となりそうだ。販売元の帝人ファーマは出荷調整を始めた。愛知医大の森島恒雄客員教授(感染症内科学)は「軽症患者などに安易に使ってはいけないが、この肺炎は重症化するスピードが速い。進行を食い止められるか見極めたい」と話した。
 

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