【越山若水】東日本大震災からきょうで9年を迎えた。復興五輪を掲げる東京五輪が7月には開幕するが、プレハブ仮設住宅住まいを700人以上が強いられており「復興とは関係ない」と諦観も透ける。被災者の生活再建はなお道半ばであろう▼岩手、宮城、福島3県の被災42市町村長に共同通信が実施した調査では、64%の27人が復興五輪の理念は浸透していると回答。一方で、3県の災害公営住宅に住む被災者の85%は東京五輪が復興の役に立つとは期待していないことが分かった▼開幕に向け準備作業を本格化させる自治体と被災者の落差が浮き彫りになる中、五輪の象徴である聖火リレーは福島県を26日スタートする。当初3・11案もあったが犠牲者を悼む日であり慎重論が根強かったようだ▼出発地はサッカー施設の「Jヴィレッジ」。東京電力が県に寄贈した施設で原発事故では被ばく検査のため政府や東電が使用していた。福井県内では5月30、31日に聖火が走る。高浜町を皮切りに福井市中央公園がゴール。県実行委員会から17市町の出発、到着予定時刻も発表された▼古代五輪発祥の地、ギリシャオリンピアであす採火式が行われる。ところが世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。感染拡大の影響を受けて無観客で実施することになった。被災地の追悼行事も各地で中止に追い込まれている。五輪の火は守りたい。

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