【越山若水】世界的に著名な清涼飲料水メーカーが、ちょっと変わった自動販売機の開発を計画した。外気温が上昇すると価格も高くなるように設定され、需要と供給を反映したアイデアだった▼同社の最高経営責任者が売り上げアップの合理的な戦略として提案したところ、顧客の足元を見る恥知らずな考えと受け止められ、消費者を激怒させたという。理由について「アリエリー教授の『行動経済学』入門 お金篇(へん)」(早川書房)は次の事例を挙げ説明する▼配車サービスのウーバーは2013年、吹雪のニューヨークで料金を最大8倍も引き上げた。危険な道路を運転する人材確保のためと釈明したが、猛反発を受けた。大半の人が雨の日に傘を高く売るのと同様、生産コストを伴わない値上げは不公正だと感じたからだ▼新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。先月来のマスク不足も一向に改善されない。何とか手に入れたいと探し回っても、どこの店にも見当たらない。こんな緊急事態に便乗するかのように、ネットオークションでは数万円もの高額なマスクが販売されている▼中には在庫のマスクを89回も大量に出品し、888万円を荒稼ぎしていたケースもあった。しかも張本人が静岡県議と聞けば、開いた口がふさがらない。経済的に正当、違法ではないと言い訳しても、不公正な値段を不快と思うのが庶民感覚である。

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