【論説】都市部に集中する「医師偏在」が解消されず、地方の医師不足が深刻さを増している。県は4月から今後4年間の「医師確保計画」をスタートさせるが、実効性ある施策が求められる。

 県内の医師数は2016年で1922人と10年前を約230人上回り、増加傾向にある。しかし、奥越は減少傾向で、嶺南は横ばいの状況が続いている。一方で高齢化が進み、県全体での医療の需要は高まっており、医師偏在を解消することが課題になっている。

 県内の医師はどれくらい足りていないのだろうか。計画案では、奥越、丹南、嶺南の3医療圏が医師不足になっているとして、20~23年度で計30人を充足する目標を定めた。

 充足目標は、国の「医師偏在指標」が使われた。これまでの人口10万人当たりの医師数より、実態に即した充足状態が分かるものにした。

 県内には4医療圏があり、福井・坂井は、指標の値が全国順位の上位3分の1に入る「医師多数区域」となった。一方で奥越と丹南、嶺南は下位3分の1の「医師少数区域」。奥越4人、丹南10人、嶺南16人の充足が必要としている。地域にとって医師の存在は“命綱”といっていいだろう。この目標は確実にクリアすべきだ。

 医師を増やすには、県内出身の医学生や県ゆかりの医師の確保が重要になる。計画案では、県外進学者を対象に、県内での不足診療科従事を義務とする奨学金制度を創設したり、県外の医学生や臨床研修医らの病院見学にかかる経費を支援したりする。今後も学生らの立場に立った制度がますます必要になるだろう。成果を見守りたい。

 産科・小児科の医師確保、外来医療体制づくりなども行うとしている。全国的な医師偏在に対し、国は効果的な対策を打ち出せていないとされるため、これらの県の施策が重要になる。

 一方で、地域医療の体制整備を巡っては、地方側から切実な問題として国に提起する動きもあった。全国知事会などは2月、医師偏在解消に向け、若い医師に山間部やへき地での一定期間の勤務を義務付ける仕組みづくりを国に要望し、政府は検討姿勢を示した。

 ほかにも、医学部生に都道府県が奨学金を貸与する代わりに、地域での一定期間の勤務を課す「地域枠」を維持することが必要だと強調している。

 医師確保計画の策定は各都道府県で進められており、医師の奪い合いであってはならない。国の強力な対策が必要ではないか。

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