自転車トラック種目世界選手権の男子ケイリン決勝で2位に入った脇本雄太(中央)=2月27日、ベルリン

 【脇本雄太、福井から東京五輪確実】日本競輪界が誇る「逃げ」の名手が、伝家の宝刀を抜いた。2月27日にベルリンで行われた自転車トラック種目世界選手権。脇本は初戦から先行型のレースを展開。世界のライバルを次々破り、決勝もトップのすぐ背後に迫った。「五輪の金メダルは、間違いなく夢ではない」。競技発祥国のプライドを懸け、福井育ちのスプリンターが東京五輪に乗り込む。

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 ケイリンは1周250メートルを6周する。ペーサー(先導車)が離れた残り3周から勝負が始まる。最終盤にかけて位置取りを争うのが普通だが、この男は違う。残り2周から先頭に立ち、並外れた持久力で逃げ切る。「勝てるだけのトレーニング、レースをこなしてきた」。大会前の意気込み通り、突っ走った。

 1回戦。大逃げを決め、残り1周から加速。風の抵抗が弱まる後続選手を引き離す異次元の強さで圧勝した。準決勝も日の丸カラーをまとった脇本の独壇場。外側から一瞬で抜き去る仕掛けの巧みさは、ワールドカップで2勝した経験値が生きた。

 決勝はスプリントの世界王者、ラブレイセン(オランダ)と残り半周のデッドヒートに。車輪差で敗れたものの、攻め抜いたサムライに惜しみない拍手が送られた。

 緊張で「何もできなかった」リオデジャネイロ大会から4年。ブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチと二人三脚で鍛え直し、競輪の出走数を減らして競技に専念した。今季はワールドカップで表彰台に立てなかったが、日本代表を決める大一番に調子を合わせ、世界選手権のメダルを手にした。「ものすごくプラス」とかみしめた。

 日本自転車競技連盟の中野浩一強化委員長(トラック種目)もレース後「金メダルはオリンピックに残した」と興奮気味にコメントした。舞台は整った。仲間に、恩師に、亡き母にささげる金メダルを取りに行く。

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