神戸製鋼―東芝の前半、神戸製鋼・レタリックが独走しトライ=神戸ユニバー

 ラグビーのワールドカップ(W杯)が終わってから3カ月あまり。

 北半球ではイングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの英4カ国にフランス、イタリアが参加する伝統の「シックスネーションズ」が第3節を終え、南半球では日本を本拠地に置くサンウルブズも参戦する「スーパーラグビー」が始まっている。

 日本では、1月に開幕したトップリーグが第6節を終え、首位のパナソニックと2位の神戸製鋼が全勝。さらには3位のヤマハ発動機、4位につけるサントリーが絡む試合はいずれも見どころが多い。

 この4チームの中でも、特に連覇を狙う神戸製鋼のラグビーは一見の価値がある。

 2月23日に行われた東芝戦では素晴らしいアタックを見せ、57対0の圧勝。2015年のW杯でニュージーランドを優勝に導いたスタンドオフのダン・カーター、19年大会ではオールブラックスの中心選手として活躍したロックのブロディ・レタリックら、献身的なプレーをする選手がそろい、神戸製鋼ならではの勝ちにこだわるカルチャーを作り出している。

 東芝戦を見る限り、神戸製鋼のラグビーはスーパーラグビーでも通用しそうに思えるし、南半球のチームよりも魅力的だ。

 注目されるのは、4月11日に埼玉・熊谷で予定されているパナソニックとの対戦。その日まで両軍が全勝を守るのか。パナソニックのヘッドコーチは、かつてオールブラックスの指揮官候補にもなったロビー・ディーンズ。さまざまなストーリーが重なり合う大一番になりそうだ。

 シックスネーションズに目を転じると、「フランス革命」が進行中だ。

 第3節を終えて、3戦全勝はフランスだけ。W杯では準々決勝で敗退したが、2023年のW杯ではホスト国となるだけあって、士気が高い。

 新監督、新しいディフェンスコーチの下で、出足の速いディフェンスを見せ、イングランド、イタリア、アイルランドを破った。

 ここ3試合のフランスのディフェンスを見る限り、W杯で優勝した南アフリカの影響を感じる。

 素早い出足で攻撃側に混乱を生じさせ、試合の主導権を握る。ディフェンスから生まれたトライも多く、今季のフランスは最も注目すべきチームと言っていいだろう。

 驚くのは、フランスの中心選手が若いことだ。

 フッカーのマルシャンは24歳、ナンバー8のアルドリットは22歳。バックスに目を向けると、スクラムハーフのデュポンは23歳、スタンドオフのヌタマックとセンターのヴァンサンはともに20歳と「中心線」を形成する選手たちがみんな若い。

 日本に置き換えるなら大学生、あるいは大学を卒業したばかりの世代であり、彼らが3年後のW杯で中心選手になることは間違いない。

 各国はまだ、W杯から世代交代に舵を切ってはいない。フランスは自国開催で初優勝を達成するという大きな目標を掲げており、いち早く新しい態勢を作ったことでアドバンテージを得そうだ。

 北半球はフランスを中心にラグビーが動いていきそうだが、フランスとニュージーランド、そしてW杯の優勝国である南アフリカとの力比べが早く見てみたい。

 W杯が終わってからわずか数カ月しか経っていないが、世界のラグビー界は3年後のW杯に向けて大きく動き出しているのだ。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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