杪谷恵子さんを追悼したコンサート=2月23日、福井県福井市の県立音楽堂

 福井県内外の多くの合唱団で指導し、2018年12月に58歳で亡くなった声楽家杪谷(ほえたに)恵子さん=福井市=の追悼コンサートが2月23日、同市の県立音楽堂で開かれた。杪谷さんの指導を受けた12団体から約230人が出演。「いつも心に太陽があると思って歌いなさい」という「恵子先生」の教え通り、笑顔で明るい歌声を天国に届けた。

 杪谷さんは仁愛女子短期大学音楽学科卒業で、県音楽コンクール声楽部門知事賞などを受賞。合唱団の指導者としても活動してきた。

 「歌う人の使命は、泣きたくても泣けない人の代わりに泣いてあげること」「悲しい曲でも光がともる瞬間がある。それがほほえみをもたらす」。多くの言葉を残した杪谷さん。闘病の末、18年に帰らぬ人となった。亡くなる3カ月前まで指導に当たり、亡くなるまで復帰を信じていた。周囲に病気は明かさず、弱った姿は見せなかった。

 杪谷さんの指導を受けてきた声楽家の山﨑和華さん(40)=福井市=は、亡くなったその日に「追悼コンサートをやる」と決断。杪谷さんの友人らと実行委をつくり、準備を進めてきた。山﨑さんは「最初は5、6団体で、と思っていたのに、どんどん増えて。まるでファンの集い」と話し、杪谷さんの人柄をあらためて感じた様子だった。

 23日は「福井市少年少女合唱団」「コーラスサークル『宙(そら)』」など12団体に所属する幼稚園児から90歳まで、老若男女の生徒が参加。笑顔の遺影が飾られたステージで、団体ごとに歌声を披露した。この日のために、県外から戻ってきた学生もいた。

 最後は全員で遺影を囲み、杪谷さんが大好きだった「花は咲く」と「おぼろ月夜」を、観客約360人と一緒に歌った。指揮者を務めた山﨑さんは曲間のあいさつで「先生、私たちの歌、どうでしたか」と呼び掛けた。

 涙で声を詰まらせる人もいたが、多くの生徒は「恵子先生」の教え通り、笑顔の花を咲かせていた。

 同級生の女性(58)=福井市=は「いつも笑顔でおおらか。歌だけでなく、前向きに生きることを教えてくれた」としのび、「温かい演奏会になった。彼女はみんなの心の中で生き続けている」と話していた。8月30日にも「追悼コンサート(声楽の部)」が、県立音楽堂である。

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