研究成果や新会社について説明する福井県立大学の濱野吉十教授(左)ら=2月20日、福井県永平寺町の福井県立大永平寺キャンパス

 福井県立大学は2月20日、化学品など製造販売の日本材料技研(本社東京)と連携し、微生物由来のポリアミド化合物を医療、材料分野で活用する「マイクローブケム合同会社」を設立したと発表した。親水性の高さを生かし、人工血管のコーティングや曇らない眼鏡レンズの開発などを目指す。同大でのベンチャー企業は初。

 生物資源学部の濱野吉十教授と丸山千登勢准教授は、土壌に生息する微生物によって、ポリアミド化合物の一つ、ポリリジンが生産される仕組みを解明。医療分野や材料分野に応用する新技術を開発し、2017年に国内特許、18年には国際特許を出願した。

 この技術に日本材料技研が注目。合同会社を設立し、ポリリジンの幅広い活用を目指すことになった。資本金は500万円で、代表には日本材料技研の坂本祥宏・事業企画チームリーダーが就き、濱野教授は最高技術責任者、丸山准教授は技術顧問を担当する。

 ポリリジンは親水性が高く、抗菌性もある。この特性を生かした人工血管や人工弁のコーティング材を開発できれば、血栓ができにくい上に病原菌の繁殖を抑える効果が期待できる。

 防滴や帯電の防止効果もあり、曇らない眼鏡レンズや医療器具レンズのコーティングも視野に入れる。ポリリジンの分子を結合し大きくすることにも成功しており、新たなバイオプラスチック開発も手掛ける。

 新会社は県立大が出願中の特許を独占的に使用。化学素材、医療機器、製薬企業などにサンプルを販売したり、サブライセンス権を付与したりして、実用化や収益増につなげる。

 20日に県立大永平寺キャンパスで認定式があり、山田賢一理事長が坂本代表にベンチャー企業の認定証を授与した。濱野教授と坂本代表は会見で「新会社を通して、われわれの技術を世界に広めていきたい」と意気込んだ。

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