アートグループ 代表取締役 光川 幹夫氏

 今年8月に創業30周年を迎えるアートグループは、都市圏の大手企業のシステム構築やソフトウェア開発を手掛けるなど、ITにおけるエキスパート企業集団だ。IoTや5Gなど社会の激変期を好機と捉え、この福井の地でさらなる飛躍に向け着実に歩みを進める。

(聞き手/吉田真士・福井新聞社代表取締役社長)

 

グループ総合力で社会変化に対応。 

吉田 御社は今年で30周年。まずは、これまでの歩みを。

光川 創業間もなくは、企業の情報システムの構築を行う「システムインテグレーション」が主な事業で、その頃から現在まで案件のほとんどは都市部企業からの受注です。90年代後半は2000年問題や郵便番号制度改変への対応で前倒し需要が発生し、業績は好調に推移。しかし、ITバブル崩壊後の2000年代初頭は需要が減り、苦境を経験しました。
 
吉田 IT業界は、とかく移り変わりが激しい印象があります。

光川 技術や社会の変化は急激です。近年では、長く需要の中心だった金融系のシステム開発などが過渡期を迎え、かつてのような大型案件は減っている。当社は、かなり以前からリスクヘッジとして特定分野への依存を避け、多様な企業や業種の案件を手掛けてきました。ソフトウェアや電子デバイス開発、人材派遣など複数の事業ドメインを構築したのも、変化に柔軟に対応するためです。
 
吉田 2008年には、リーマンショックが起きましたね。

光川 すでに事業領域を分散させており、大きな影響はありませんでした。業績を積み重ね、今期はグループの全会社で増収増益。各社の受注状況や営業の進捗、顧客ニーズなどの情報をグループ内で共有し、グループ総合力を高めた結果だと実感しています。

 

好機を逃さず拡大路線を貫く。 

吉田 昨年策定の中期経営計画では拡大路線をうたっています。

光川 業界の好機を捉え、2022年夏時点での売上高100億円、従業員550人を目指します。

吉田 その好機とは?

光川 AI、5G、IoTをはじめとしたICTの高度化が今後の業界をけん引するでしょう。先進技術に対応した開発には高度な知見はもちろん、発注元が持つ専門的ノウハウや、他社との協業や機能補完が必須。昨年12月に完成した当社の「イノベーションセンター」は機能補完を目的に、産学官の連携の場を目指すものです。

吉田 先進分野のほかに、ビジネスチャンスとなるものは?

光川 大企業のシステム開発などで人件費の低い中国など海外へ発注する「オフショア」が主流でしたが、情報流出などの懸念から「ニアショア」、つまり国内の地方へ発注する流れが起きているほか、現用の古い世代のシステムを最新のものへ再構築する需要も高い。これらに応えて福井での開発案件を増やすため、設備を備えた開発室を常に確保し、発注があればチームを組み、即座に案件に着手できる体制を敷いています。

吉田 大規模な開発となると、精緻な対応を求められますね。

光川 機密性の確保は死活問題です。当社の開発室は担当スタッフ以外、社長の私も含め出入りできないよう管理され、通信機器の持ち込みは厳禁。カメラによる室内の監視映像は発注元も確認できるようにして透明性を確保するなど、情報流出防止への徹底した施策を用意しています。

吉田 一方で、従来と異なる手法のビジネスも模索しているとか。

光川 個別の企業に対応して開発を行うだけでなく、いわゆる「ストック型ビジネス」の比重も高めることも重要です。ICタグ機器(RFID)や、3年前に開発したIoTプラットホーム製品「おくだけボード」のような汎用性の高い製品を提供して継続的な収益を確保する戦略も、業績拡大には欠かせません。

 

「技術的に初期段階であったAIやIoTが、本格的な導入フェーズを迎えている。市場も劇的に変わるだろう。また5Gとのシナジーも考えられる」と光川社長は期待をにじませる。

 

着実な歩みで無限の未来へ。 

吉田 業績拡大に向けては、「人への投資」をどう進めていますか。

光川 人が資本のIT業界では常に最優先課題です。特にモチベーションアップは重要。当社の「自立型人事制度」では自己評価を重視し、会社と個人の間のミスマッチを減らそうと努めています。多くの就活生や若手社員は「福井で働くこと」や「個性を尊重してくれる企業かどうか」を重視している。「変革と創造」の企業精神に照らし、価値観の違いを認め、柔軟に社内体制を変えることも「人への投資」。ニアショアにより、福井出身者が地元で働き続けられる環境を整えるのも、その一環です。

吉田 高度技術に対応できる社員の育成も課題ですね。

光川 OJTや外部機関への派遣を通じ、育成しています。「会社がどこに進むのか。どんな知識やノウハウが必要になるか」を社員に周知するため職能資格制度を採用し、身に付けてもらいたい技能やスキルを昇格や昇給の条件として示しています。

吉田 人の成長があってこそ、会社も前に進めるのですね。

光川 われわれの社是は「常歩無限」。社員には、新しいものを生み出す情熱を持ちながら粘り強く学び成長することを期待したい。これからもビジネスを一歩一歩着実に前進させ、社員たちとともに未来へ進んでいきます。

 

 

アートグループ

株式会社アートホールディングス、株式会社アートテクノロジー、株式会社アートファイネックス、株式会社アートソフトウェア、株式会社アートソリューション、株式会社ヒューマン・デザイン

福井本社/鯖江市上河端町6-1-33
www.art-tec.co.jp/
創業/1990年8月
従業員数/472人(グループ全体)
事業内容/システムソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューション、リモートエンハンス、電子デバイス、RFIDソリューション、人材派遣、教育訓練

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