楽天の送料無料化支持を発信している「すててこねっと楽天店」のページ

 通販サイト「楽天市場」を運営する楽天が、購入者への送料を3月にも出店者負担で無料にする。この方針を巡り福井県内出店業者の間でも波紋を呼んでいる。「一方的な負担の押しつけだ」と反発の声が上がる半面、「消費者ニーズへの対応で必要」と理解を示す声もあり、賛否が分かれている。

 ■「共存共栄ならず」

 「無料にしたいのなら、楽天が(費用を)持つのが筋。なぜ出店者がかぶる必要があるのか」。赤ちゃん用品やギフト商品をネット販売する「トライアド」(越前市)の中村善夫社長は新制度に反対の立場だ。

 同社は10以上のサイトに出品するが、売り上げの半分ほどは楽天市場が占めるという。仮に送料無料化が実施されれば商品価格に転嫁する方針で「多くの中小業者はそうせざるを得ないのでは」と中村社長。そうなれば、配送料を負担できる大手出店者との消耗戦になり、小規模店の体力が奪われ、撤退が相次ぐ恐れもある。

 中村社長は「価格が多少高くても選ばれるような高付加価値品を企画していく必要がある」と話す。

 みそ販売の米五(福井市)の多田和博社長も「以前から一方的な規約変更が多く、楽天には不満を持っていたが、一律無料化なんてされたらたまらない」と異を唱え、楽天市場からの撤退を決めた。20年以上出店し続け、撤退による売り上げの減少は小さくないが、今後は自社サイトの集客に力を注ぐ。

 多田社長は、送料無料化によって注文件数は増えたとしても、客単価は下がり総売り上げは増えないと予想した上で「受注処理や発送のための梱包の手間も増え、コスト増。楽天が言うような(ネット事業者と出店者の)ウィンウィンにはならない」と話す。

 ■「全体パイ膨らむ」

 インターネット通販業界の競争は激しさを増す一方だ。国内の取扱高で楽天と首位を争うアマゾンジャパン(東京)は独自の物流網を構築し、直販商品を安く配送している。楽天はこれに刺激を受けて送料無料化で対抗する形で「利用者の獲得や購買額の増加が期待でき、長期的には店舗に利益を還元できる」と主張している。

 下着のネット通販を手掛ける「すててこ」(あわら市)は楽天の方針に賛成の立場。笹原博之社長は「楽天というプラットフォームが傾けば、船に乗っている業者も沈む。消費者は送料に敏感で、無料を打ち出すことで楽天市場全体のパイが膨らむ」と期待する。

 同社は、楽天の意向を先取りする形で12日から、送料無料となる購入額を従来の5500円以上から3980円に引き下げた。楽天市場内の店舗画面で「楽天の施策を支持」と発信している笹原社長は「出店業者がある程度のリスクを取らないと成長はない。自社で負担する送料分は、売り上げが伸びる分と経営合理化で捻出できる」と言う。

 2008年から楽天市場に出店している靴販売のザカモア(坂井市)は、当初から2900円以上の商品は送料込みにしており、楽天の方針は「あまり関係ない」という。西村拓朗社長は、分かりやすい料金体系にすることで「各店舗の客数、購入額とも増えるだろう。ユーザーのことを思えば正しい判断で、楽天のチャレンジを応援したい」と話している。

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