株式会社 福井村田製作所 代表取締役社長 中川 忠洋氏

 福井村田製作所は、日本を代表する電子部品メーカー村田製作所グループの「マザーファクトリー」としてグループ全体を支える。昨年10月に就任した中川社長のもと、「地域の喜びであり、誇りに」という創業以来の志を大切にしながら、世界一のものづくり工場を目指す。

(聞き手/吉田真士・福井新聞社代表取締役社長)

 

グループを支えるマザーファクトリー。 

吉田 グループの主力製品である「コンデンサ」とは?

中川 コンデンサは、電気を蓄えたり放出したり電圧を安定させ、あらゆる電子機器の要である半導体の動作を助けます。当社が製造する「積層セラミックコンデンサ」は、セラミックスシートと電極を何層も積み重ねるもので、携帯電話などに使われる1㎜×0.5㎜の大きさが主流です。スマートフォンに約800個、自動車には5000個以上搭載されます。
 
吉田 目に見えないところで私たちの生活を支えている。

中川 グループ全体の販売先は9割が海外。積層セラミックコンデンサの世界シェアは約40%を誇ります。今後、5Gや電気自動車、IoTの発達により、需要はさらに高まる。現在の生産能力は年間約1兆個ですが、将来の増産を見越し、この2月に敷地内で新たな生産棟を竣工しました。さらにサイズの小さな積層セラミックコンデンサを製造する技術を持っており、ウェアラブル端末など今後の機器の小型化にも対応できます。
 
吉田 その他の製品の将来性についてはいかがでしょう?

中川 電子機器の障害となる電磁波を防ぐ「ノイズ対策製品」のニーズは、世の中のデジタル化に伴い増えています。当社が注力している分野のひとつで、宮崎工場が生産を担っています。


吉田 世界に名だたる村田グループで、御社の位置づけとは?

中川 開発と生産の主要な拠点である「マザーファクトリー」の役割を担っています。新しい製品を開発するだけでなく、量産化に必要な技術や生産工程の研究に取り組み、実用化する。ここで生み出したものを他の生産拠点へ展開し、グループ内で共有するのです。

 

吉田社長に積層セラミックコンデンサが入ったケースを手渡す中川社長。「小さくなっても、性能は同じ。世界最小クラスのコンデンサの量産体制も整えています」。

 

世界で一番のものづくり工場へ。 

吉田 新社長としての舵取りにおいて大切にしたいことは?

中川 グループの経営理念の社是にもある「独自の製品を供給する」という哲学ですね。価格競争をせず、どこにもない製品、他社が真似したいと思う製品を造り出す。ものづくり企業の価値は、そこにあります。

吉田 最前線を走り続けると。

中川 私は福井村田を「世界一のものづくり工場」にしたいと考えています。昨年策定した中期経営計画は若手が中心となって考案し、「Beyond FMC(福井村田製作所)」のスローガンを掲げました。技術でも品質でもこれまでの福井村田をはるかに超えていこうという思いです。

吉田 そのために必要なものは?

中川 どんどん高度化する技術水準への対応に向け、人材育成に注力しています。入社後半年はトレーナーの指導のもと生産現場での研修、その後はカリキュラム化されたOJT制度で技術を習得。入社5年後には、どんな生産現場でも通用する人材に育てます。


吉田 人手不足が深刻な中、業務の効率化も課題ですね。

中川 現場で現物を観察し、現実を認識して問題解決を図る「3現主義」に則り、継続的な工程改善に努めています。社員のQCサークルでの自発的な取り組みのほか、改善報告制度を設けて効率化に貢献した社員に報償を与えています。国内有数のメーカーが集い改善事例を競う全国大会では、グループの代表として参加し、幾度も高い評価を受けています。

 

地域に貢献し、「誇り」となる企業へ。 

吉田 村田グループの事業所として最も古い歴史があるとか。

中川 1951年に越前町小曽原地区にあった福井県窯業試験所内に村田研究所を開設し、ほぼ同時期からセラミックコンデンサの開発と生産を行ってきました。その当時掲げられていた「そこにムラタがあることが地域の喜びであり、誇りであるように」というモットーは、現在でも国内外すべての事業所に掲げられるグループのDNAです。

吉田 地域への思いも、会社の推進力になっているのですね。

中川 社員の8割は丹南地区在住です。当社が経済活動を行うことも、地域貢献のひとつのあり方。また社員が幸せに働くことを支援するのも我々がするべき貢献です。産休や育休の奨励はもちろん、時差出勤や在宅勤務を認め、社員のワークライフの充実に手当を出す「カフェテリアプラン」を設けるなど、働き方改革にも注力しています。さらに敷地内の一部を地域に開放したり、小学校に出前授業を行い子どもたちに科学や環境へ関心を持ってもらえるよう取り組んでいます。

吉田 企業の社会的責任をしっかり果たしていくと。

中川 世の中の役に立つ製品を提供し社会に貢献することはもちろん、福井村田で働く人や地域の幸福も最優先に考えていきたい。そこに村田があることが地域の方々の喜びと誇りとなることが、これまでもこれからも我々の願いです。

 

 

株式会社 福井村田製作所

本社/越前市岡本町13‐1
TEL.0778-23-2111
www.murata.com/ja-jp/group/fukuimurata
創業/1951年2月
資本金/3億円
事業内容/セラミックスをベースとした電子部品(積層コンデンサ、ノイズ対策製品、など)の開発・製造

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