【論説】JR福井駅西口の再開発エリアに、世界最大のホテルチェーン、マリオット・インターナショナルが進出することになった。北陸新幹線の県内延伸まであと3年余り。核となるホテルが決まり、新幹線開業後の駅周辺のイメージが徐々に固まってきた。

 ホテル名は「コートヤード・バイ・マリオット福井」。米国に本社を置くマリオット社は世界134カ国・地域に「ザ・リッツ・カールトン」「シェラトン」など30ブランド、7200軒以上の宿泊施設を有する。「コートヤード」は50カ国以上に1200軒を展開するマリオット社最大のブランドで、日本国内には東京、大阪、長野県白馬村に計5軒ある。富裕層を含む観光客や家族連れ、ビジネスマンなど幅広い客層に利用されているという。

 外資系のホテルは福井で初めてとなるが、とりわけ世界最大のマリオット社が進出する意義は大きい。同社の特典制度を利用できる会員は世界各国の1億3千万人規模に上る。大げさかもしれないが、マリオットのネットワークを通じ、世界中の会員たちが「FUKUI」を知る可能性がある。インバウンド(訪日外国人)拡大に向け追い風であることは間違いない。

 新幹線開業を見据えJR福井駅周辺では、ホテルの建設が相次いでいる。昨年3月にビジネスホテルチェーン「ドーミーイン福井」が進出したほか、建て替え計画がある県繊協ビル跡には2023年に和風ビジネスホテル「御宿野乃(おんやどのの)福井」がオープンする予定。他にもビジネスホテルの建設計画があり、ホテル業界の視線は福井に集まっている。

 マリオットのように新たに進出するホテルと既存の宿泊施設は、果たして共存共栄できるのだろうか。福井市内でビジネスホテルを手掛ける不動産業者は「マリオットとは客層が違うため、すみ分けできると思う」としながらも「市内の客室数が増え続けて価格競争になれば、地元の旅館などが苦戦する可能性はある」と警戒する。

 そもそも新幹線が開業すると、福井駅周辺にどれくらいの人が宿泊する見込みなのか、今のままで宿泊施設は足りているのか、それとも足りないのか。こうした需給調査に行政は早急に取り組むべきだ。

 新幹線開業から5年たつ金沢では、過剰との指摘がありながらもいまだにホテルの建設ラッシュが続いている。3年後の福井開業時に再び「北陸ブーム」が来るとみており、福井を訪れた観光客を宿泊では金沢に取り込もうという思惑もあるという。このような隣県の状況も踏まえて計画的に整備することが、福井駅周辺の宿泊施設が共に栄える最善の道と考える。

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