「正確なジャッジをしたい」と東京五輪への意気込みを話す前田博司理事長=1月25日、福井県あわら市の北潟湖

 2020年東京五輪のカヌースプリント種目の審判員に、福井県カヌー協会理事長の前田博司さん(74)=大野市=が選ばれた。予選を含む全レースで着順を見極める「決勝審判」10人のうちの1人。福井工業大学カヌー部の顧問を長年担い、競技普及にも力を尽くしてきた。「集大成のつもりで確かな仕事を成し遂げたい」と背筋を伸ばす。

 五輪審判は、国内の上級資格と国際カヌー連盟が定める国際資格を持つことが条件。「事故など不測の事態にも慌てない対応力が必要で、英語力も求められる」という。スプリント種目の国際資格保持者は国内で26人おり、県内では唯一という。

 福井工大で教員を務めた。競技歴はないが、カヌーやヨットに興味があり1974年に同大カヌー部を創設。指導法を学びながら39年にわたり選手を育て、2003年から県協会理事長として競技普及に当たる。

 審判員としても経験を積み、18年福井国体では決勝審判長の重責を全うした。「年齢的に、国体で審判に区切りを付けようと考えた」が、日本連盟から要請があり「最速を決めるレースに立ち会える。これ以上の名誉はない」と、初めての五輪審判員を引き受けた。

 8月3~8日に行われる男女計30超の全レースで着順やタイムをジャッジし、ビデオ判定が正確かどうかを裏付ける。このほか、レーンをはみ出していないかを見る水路審判やスターターなど総勢約50人が関わり、このうち半数は外国人が担うという。

 カヌースプリントについて「自らのパワーと技術だけで戦う。選手の気迫に圧倒される」と魅力を語り、「会場やテレビ観戦で多くの日本人を魅了するはず」と自国開催を楽しみにする。福井県勢では桐明輝子選手(23)=県スポーツ協会=が出場を目指しており、カナディアンシングルで優勝を果たした昨年の日本選手権では、前田さんが決勝審判長を務めた。「ぜひ五輪に出てもらい、自慢のパワーで福井県民を沸かせてほしい」と期待を寄せた。

■東京五輪カヌー競技 直線コースで着順を競うスプリントは200、500メートルと1000メートル(男子のみ)に分かれ、ゴールは船首がフィニッシュラインを通過した時点。シングルとペア、フォアを行う。ほかにゲートを通過しながら速さを競うスラロームがある。カヌーは両端にブレード(水かき)がついたパドルを使うカヤックと、片側のみのパドルを操るカナディアンの2種類。今大会は女子にカナディアンが加わった。スプリントの会場は都内に新設する海の森水上競技場。

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