初音ミク『マジカルミライ2019』

 まず、セットリストに驚いた。以前ここで紹介したときに演奏された楽曲はほとんど入っていないではないか。総入れ替えの総力戦といった様相に、DVDを観る前から初音ミク、そしてこの催しのすごみを感じてしまった。

 「未来へ無限に繋がっていく『初音ミク』の創作文化を体験できる、ライブと企画展を併催したイベント」(HPより)、マジカルミライ。7年目となる2019年の催しのなかから東京公演(最終日/夜公演)の、アンコールを含む全編を完全収録したのが本作だ。初音ミクのほか鏡音リン・鏡音レン、巡音ルカも登場。暗闇の中、曲に合わせて揺れるペンライトで会場が一つの生き物のようになり、いかに観客たちがこの日を待ち望んでいたかが手に取るように伝わってくる。

 その楽曲たちもアニメソングの王道的なメロディだけでなくロックや演歌調など、ますます幅広いジャンルの表現を実現している。リン・レンの歌声にも厚みを感じるし、初音ミクの表情や動作には貫禄さえただよう。まさに未来に向かって進化を続けるバーチャル・シンガーとエンターテインメント、その道の途中を今、ともに共有し目撃者となる楽しさに満ちあふれた作品だ。(ビクターエンタテインメント・4800円+税)=玉木美企子

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