中澤卓也『中澤卓也コンサート2019〜令和の幕開け、新たな世界を切り拓く』

 また新しいタイプの演歌歌手の才能が花開こうとしているんだな、そう思わされる作品だった。2013年、祖母の勧めで出場したNHKのど自慢で「今週のチャンピオン」を受賞したことをきっかけに、デビューをつかんだ中澤卓也。本作には、そんな彼が19年9月に開催した日本青年館でのコンサートの模様が完全収録されている。

 きりりと歌い上げた1曲目は自身のセカンドシングル『彼岸花の咲く頃』。しかしその後MCに入るとなにやら会場から笑いが絶えない。どうやら「かわいくて仕方がない系」のキャラクターのようだ。女性たちのざわめきだけでなく、男性からの声援が聞こえてきたのも印象的だ。層の厚いファンを持つのもうなずけるほど、まだデビューして数年とは思えない貫禄。徒弟制度的ザ・演歌の世界独特の気負いは見られず、会場を適度にかき回し温めながら自然体のステージを展開していく。

 『私鉄沿線』『越冬つばめ』から『ギザギザハートの子守唄』まで、まさにおもちゃ箱のように繰り出す選曲も絶妙だ。なんと後半には、サプライズゲストとして美川憲一も登場! 客席に降りてもみくちゃにされるクライマックスも含め、なんだか隅から隅まで“心温まる”良作だった。(日本クラウン・4364円+税)=玉木美企子

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