【論説】企業や地域のニーズを素材に大学生らが課題解決型学習(PBL)に取り組むケースが新年度から県内で増えそうだ。大学や短大、高専の県内8校でつくる「ふくいアカデミックアライアンス」(FAA)と県が企業向けの説明会をこのほど開いた。学生が福井の企業の魅力を知るきっかけにしてほしい。

 企業などと連携した課題解決型学習は、個別の大学ではこれまでも行われてきた。障害者対象の展示の企画運営、中山間地域での乗り合いバスの利便性向上、IoT(モノのインターネット)を用いた獣害対策ロボット研究などで、いずれも学生が積極的に関わっている。今回は企業からの要望を幅広く募り、FAAが大学などの専攻に応じて8校に仲介するシステムだ。

 そもそも課題解決型学習はグループワークなどを通して課題をひもとくアプローチ法を学ぶ取り組み。広い視野や多様な価値観が身につくとされる。企業担当者と直接コミュニケーションを取ることで、より深い学びが実践できるという。

 企業へのメリットも大きい。学生に自社の魅力をダイレクトに知ってもらうことで将来の人材確保につながるからだ。

 ただ、企業としては学生の教育効果を優先することを忘れてはならない。学生の資質やモチベーション、対応できる能力に応じて達成目標の軌道修正が必要になることも想定すべきだろう。学生の成長を伴う形で、未知の事業へのヒントを得て新商品の展開などにつながることを期待したい。

 日本経団連は2018年6月、大学改革のあり方に関し、人口減少で労働力が不足する中、多様な能力を持つ人材の育成が不可欠との提言を行った。人工知能(AI)など科学技術が急速に進展し、産業界はより実践的な職業教育の拡充を求めている。

 今回はこうした流れを踏まえた取り組みといえ、FAAは4月からの初年度で50件の課題解決型の学習を実施したいとする。企業の期待も高く、説明会には50社から60人が参加した。

 大学へのアプローチで敷居が高いと感じる企業も少なくない。今回の取り組みが大学との関係構築の一助になるのではないか。学生の学習をきっかけに、大学教員らが企業ニーズを把握し、新たな共同研究に発展していくことも考えられる。

 少子高齢化で若者の県外流出に歯止めをかける必要性が指摘されている。企業と大学の連携によって県内企業が魅力を高め、学生がその魅力を知る好循環を求めたい。

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