土田さんの顔の変遷をカレンダーにしたイメージ作品

 写真家の土田ヒロミさん(福井県南越前町出身)は1986年7月からほぼ毎日、セルフポートレートを撮り続けている。老化していく自らの顔を記録することで、緩慢な時間の流れと命の尊さを可視化するためだ。2018年まで33年間の記録を一堂に並べる写真展「Aging 1986―2018」が2月5日、東京・目黒区のコミュニケーションギャラリーふげん社で始まる。

 撮り始めたのは46歳のころ。白髪をまとまって見つけ、老化を自覚したことがきっかけだった。本格的な高齢化社会の到来が取りざたされた時期で「自分の老化を通じて問題と向き合ってみよう」との思いもあった。

 広島や福島へ何度も通い、数年、数十年単位の定点観測によって、戦争や原爆、原発問題の痕跡をあぶり出してきた生粋のドキュメンタリスト。だが、実際に毎日自らの顔を“定点観測”するのは並大抵ではなかった。

 「仕事に忙殺されて撮影を忘れたり、データを消失したりしたこともある」。時代は昭和から平成に変わり、カメラはフィルムからデジタルへ。引っ越しを重ね、家は何度も変わった。その間も愚直に撮り続けてきた。現在は毎日自宅のトイレの入り口に立ち、シャッターを切っている。

 作品は1年365日分(撮れていない日も含む)の写真を日付とともに印刷した縦90センチ、横80センチのロール紙33枚など。面白いのは6分強の映像作品「Aging」だ。30分の1秒に1枚を映し、1秒間で1カ月、1分間で5年、6分間で30年の顔の変化を見ることができる。

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