【越山若水】俳聖、松尾芭蕉の門弟でいの一番に挙げられるのが宝井其角(きかく)である。江戸生まれらしく、庶民の生活に目を向け都会風でしゃれの効いた作風で知られる。「今ここに團十郎や鬼は外」▼團十郎とは2代目市川團十郎のこと。「千両役者」の一人といわれる歌舞伎界の人気役者。豪放さと柔和さを兼ね備えた独自の芸風を生み、表情豊かな化粧法「隈取(くまどり)」を完成させた人でもある。確かに、派手な隈取の役者が登場すれば、こわもての鬼も一目散だろう▼きのう節分。明けてきょうは立春である。ちょうど冬と春の境目の時期だけに、古来より人々は大みそかと同じく「厄落とし」の儀礼を行った。それが節分の豆まきで、疫病や飢饉(ききん)をもたらす鬼を「鬼は外、福は内」と追い払い、次に訪れる春の幸福を願ったという▼さて、今年の「節分」は中国発の新型肺炎一色だった。コロナウイルスによる死者は中国本土で360人を超え、かつての重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回った。感染は世界の26カ国・地域に拡散し、日本でも20人が確認された。まだまだ増える恐れがある▼衆院予算委では拡大防止策の質問が相次ぎ、東証株価は世界経済の停滞が懸念され大幅下落。全国の店頭からマスクや除菌用品がすっかり消えた。福井県も状況は同じだ。「鬼は外」とばかり、新型肺炎を追放する起死回生の妙案はないだろうか。

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