おさい銭にキャッシュレス決済を導入した照恩寺の朝倉行宣住職=2月1日、福井県福井市東郷二ケ町

 おさい銭も電子マネーで―。福井県福井市東郷二ケ町の照恩寺が2月1日から、さい銭をスマートフォンを使った決済サービス「ペイペイ」で支払えるようにした。サービスを利用する参拝客は本堂にあるさい銭箱横のQRコードをスマホで読み込み、好きな金額を入力してから手を合わせる。住職は「仏教も時代に対応したやり方が求められている」と話している。

 17代住職の朝倉行宣さん(52)は2016年から、若い世代にもお寺に足を運んでもらいたいと浄土真宗の法要とテクノ音楽を融合させた「テクノ法要」を始めた。高い音楽性と新たな手法での仏教の発信が国内外から注目を集め、2018年には坂井市在住のシンガー・ソングライターで、僧籍を持つヒナタカコさんとコラボレーションしたミニアルバムも発表。同寺でのCD販売に合わせてペイペイを導入した際に「おさい銭にも適した仕組みでは」(朝倉住職)と思い立った。

 県仏教会(福井市)は「県内では聞いたことがない」と話す先進的な取り組み。県外の神社仏閣では訪日外国人客への対応や防犯対策として、さい銭やお守りなどの販売にキャッシュレス決済を導入する事例が見受けられる。

 一方、京都仏教会(京都府京都市)は信者の個人情報が第三者に把握される恐れがあるとして、昨年6月にキャッシュレス決済は「お布施などの宗教活動で受け入れないことを求める」とする声明文を発表している。

 照恩寺近くの主婦(44)は「さい銭にちょうどいい金額の小銭を持ち合わせていないときに便利」と抵抗感はない様子。朝倉住職は「モノのお布施で寺院の衣食住が支えられていた大昔、新たに登場した貨幣はお布施にふさわしいのかという論争があったとされている。現代においても議論を恐れずに時代に合ったやり方を考えていきたい」と話している。

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