【論説】学校や地域における「キャリア教育」が進化している。県内中学の職場体験で生徒が商品開発や業務改善について提案したり、県外大手企業の社員を招いて働く意義を語ってもらったりと形態はさまざま。より実践的で児童生徒らの意識を高める工夫が見られる。さらなる充実、広がりを期待したい。

 本年度、福井市内の中学校が取り組んだ「提案型職場体験」。安居中では11事業所の協力を得て2年生27人が参加した。「会社説明会」で仕事内容を聞き、自己PRや志望動機を記した「エントリーシート」を作成、面接を受けるなど“就活”を経て体験に臨んだ。

 目を引いたのは、受け入れ事業所からの課題に対し生徒がアイデアを出す形式だ。例えば足羽山公園遊園地では、動物への餌やり体験で園内放送を活用して人を集める方策を提案。園側も賛同していた。製造業で働いた生徒は「どれだけ職場に貢献できるか意識した」と振り返った。受け身になりがちな職場体験で、生徒の主体性を引き出す手法は評価できる。

 キャリア教育について文部科学省は「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」(2011年の中央教育審議会答申)と定義しており、提案型職場体験はまさにこの目的に合致する。実施した中学には「先進校」としての役割も果たしてほしい。活動の要点や課題を積極的に開示し、県内各校が共有、活用できるようになれば、教育的効果はより高まるだろう。

 このほか、高浜中の授業では、大手家電メーカーの社員が部活で最後までやり抜く力や協調性が身についたことを語り、生徒たちの共感を呼んでいた。

 中学以外でも年代に応じた取り組みがある。福井市中心部で毎年行われている小学生対象の「おしごと探検隊 アントレ・キッズ」は、キャリア教育の入り口としては最適ではないか。福井大学院生と社会保険労務士が県内の高校で続けている「協働授業」は、より身近で実践的。大学生のアルバイト雇用契約問題などがテーマで、やりがいのある仕事探しを考えるきっかけにもなっている。

 情報化社会の進展やグローバル化を背景に、キャリア教育の充実を求める声は年々高まっているように感じる。教育現場で「持続」「接続」が重視されている点も踏まえ、小学生の時の経験が中学、高校へと着実につながるような態勢づくりを望みたい。

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