【論説】衆参両院の予算委員会が連日開かれ、約2カ月半ぶりに一問一答形式の論戦が繰り広げられている中、とりわけ、安倍晋三首相主催の「桜を見る会」問題では「私物化」疑惑が一層深まったと言わざるを得ない。

 首相の地元事務所が支援者に会への参加を募る文書を配布していたことはこれまで明らかになっていた。だが、野党の指摘で、こともあろうに内閣府が招待状を発送する前に、事務所側が「『桜を見る会』へのご参加をたまわり、ありがとうございます」などと招待決定を通知する文書を推薦者に送付していたという。

 首相は「事実」と認めた上で、「事務所によれば、回数を重ねる中で推薦すれば招待されるだろうとの安易な臆測の下、作業を進めてしまったとのことだ。招待プロセスを無視した不適切な表現であり、問題があった」と釈明した。

 招待者に関して「最終的に内閣府および内閣官房が取りまとめをしている」「中には招待されなかった推薦者もいる」などとする説明を繰り返してきたが、根底から覆ったといえる。会への参加申込書には「コピーしてご利用ください」と記されており、自由に参加できたのだろう。功績、功労についてはノーチェック状態であり、第2次安倍内閣以降、会の参加者が右肩上がりに増えた背景の一端がそこにある。

 失笑を買ったのが、「歴代首相が地元後援会を招待してきた」などする首相答弁に対して、2009年に首相として会を主催した麻生太郎副総理兼財務相が自身の事務所が参加者を幅広く募ったか否かを問われ「ありません」と否定した場面だ。民主党政権当時も支援者らを招待していたことなどを殊更強調し、責任逃れする首相の答弁に疑問符が付いた格好だ。

 森友学園問題では、首相が学園側に寄付をしたとされる疑念が持ち上がった際に「渡していないのは証明しようがない。いわば悪魔の証明だ」と述べていた。だが、今回の疑惑では首相側が潔白を証明する材料に事欠かない。

 第一に、招待者名簿だが、政府は既に廃棄したとの一点張り。野党側は前例踏襲を是とする官僚が廃棄していない可能性があるとし、廃棄を示すパソコンのログ(記録)の開示を求めている。第二に、桜を見る会の前夜祭として開催された夕食会の明細書や見積書。さらには、一枚も見つかっていないという参加者への領収書だ。

 首相はやましいことがないならば、すぐにでもこれらを提示すべきだ。新型肺炎や予算案など課題は山積しているが、常に問われているのは公平、公正であるべき首相の政治姿勢であることを忘れてはならない。

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