木像の前で「手を合わせてくれた方に朗報が届くことを願っている」と話す廣部重紀宮司=福井県福井市加茂町の賀茂神社

 睦月神事で知られる福井県福井市加茂町の賀茂神社が子孫繁栄の「パワースポット」として注目を集めている。縁起書を基に同神社が制作した男性の象徴を模した木像が話題を呼び、子宝を授かろうと参拝する人が増えている。

 賀茂神社は、京都の上賀茂、下鴨両神社の神霊を祭って奈良時代に建立され陰陽道の古社。遠祖は、陰陽師安倍晴明の師匠に当たる賀茂氏で、大国主命や神武天皇など約15の神が祭られているとされる。

 2016年春、子孫繁栄の御利益があるとされる「金勢大明神」が祭られているとする縁起書の木版が見つかった。

 賀茂神社によると、金勢大明神は「サエノ神」「道祖神」とも呼ばれ、金勢大明神が祭られる地域には、男性の象徴を模した石仏が置かれることが多いという。廣部重紀宮司(78)が神社周辺で石仏を探したが見つからなかったため、福井県坂井市の建築会社に木像の制作を依頼した。長さ約2メートルの木像が2019年夏に完成、さい銭箱の奥に飾られた。

 この木像が参拝者の話題を集め、問い合わせも増えたことから、1月に縁起書の内容を記した文書も木像に掲示した。

 福井市立郷土歴史博物館の角鹿尚計館長によると、縁起書の字体や文章に近世の特徴があることから、木版は江戸後期~明治期に作られたと推測。「浄土真宗の勢力が強い福井県で、民間信仰の証が残っているのは大変珍しい」としている。

 廣部宮司は「縁起書が書かれた木版は先祖が残してくれた大切なもの。木像を飾ることができてうれしく、手を合わせてくれた方全員に朗報が届くことを願っている」と話している。

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