関西空港のサーモグラフィー画面に映し出される到着客=1月22日

 新型コロナウイルスによる肺炎を巡っては、インターネット上で不安をあおるデマが流れた。発生地の中国湖北省武漢市からの邦人帰国は1月29日から本格化。専門家は社会不安の拡大を懸念し「社会全体で感染防止を」と冷静な対応を呼び掛けている。

 「発熱などの症状が出ている中国人が関西空港で逃走した」。ツイッターではこんな情報が拡散され、大阪府の吉村洋文知事は24日、明らかなデマだと指摘。府の対策本部会議で正しい情報を提供するよう指示するなど対応に追われた。

 29日午前8時40分ごろには、武漢で邦人を乗せたチャーター機の第1便が羽田空港に到着した。さらなるデマやパニックといった過剰反応が起きる恐れもある。東北医科薬科大の賀来満夫特任教授(感染制御学)は帰国者に発熱チェックやマスク着用、こまめな手洗いなどを求める一方、迎える側にも温かく支える姿勢が必要だと訴える。

 賀来氏は感染力が弱いにもかかわらず隔離政策が続いたハンセン病を挙げ、感染症には「罹患(りかん)を避けたい」との人々の思いを背景にした差別の歴史があると説明。「感染症は個人の病気であると同時に、社会の病気でもある」とくぎを刺す。

 差別が広がると、体調が悪くても言い出せないなど対応が遅れて感染拡大につながる可能性も。「一人一人が冷静になった上で、平時から体調管理や手洗いをエチケットとして行うなど、社会全体で感染予防に努めていこうとする意識を高めることが大切だ」と述べた。

関連記事