農林水産省の呼び掛けに応じ、恵方巻きの廃棄削減に取り組んでいることを示す掲示=1月27日、福井県福井市のアルビス大願寺店

 2月3日の節分に食べる恵方巻き。決まった方角を向いて頬張ると縁起が良いとされ定着しているが、売れ残りが大量に廃棄されることが社会問題となっている。福井県内のスーパーでは予約販売を強化し、店頭に並べる量を抑えることで廃棄量を減らそうとしている。従来から取り組んでいる予約による割引販売に加え、廃棄削減への協力をチラシに明記して呼び掛けたり、受付期間を延ばしたりするなど工夫を凝らしている。

 ●国挙げて推進

 食べ物が無駄に捨てられる食品ロスが全国的に大きな問題となったのは、売れ残った節分の恵方巻きが大量に捨てられた様子が会員制交流サイト(SNS)などで発信されたのが発端だ。国は昨年10月に食品ロス削減推進法を施行し、地方自治体や事業者、消費者の責務、役割などを定めた。恵方巻きに関しては同12月、農林水産省が小売りの業界団体を通じて廃棄削減を要請し、協力を申し出た事業者をホームページで公表。取り組みに参画することを示すポップなどを配布した。

 県内でスーパーを展開する事業者では、アルビス(富山県)が名を連ねる。福井市の大願寺店では、すし売り場とサービスカウンターに、農水省のポップや恵方巻きのチラシを掲示して、事前予約による廃棄削減への協力を呼び掛けている。ポイント還元や粗品進呈といった予約特典も用意した。

 アルビスは日頃から、売れ行きを見ながら商品や材料を近隣店とやりとりするなど、食品ロス削減に力を入れている。大願寺店の担当者は「恵方巻きの予約販売に取り組む意義がお客さんにも広がり、食品ロスについて考えてもらうきっかけになれば」と話している。

 ●協力呼び掛け大幅減

 県民生協(福井市)が運営するハーツは昨年から、恵方巻きのチラシに廃棄削減への協力を呼び掛けるメッセージを掲載するなどし、予約を中心とした販売に切り替えた。その結果、予約数は増え廃棄量は大きく減ったという。高齢者世帯など向けには半分のサイズを用意し、家庭での廃棄につながらないような工夫もしている。

 ヤスサキ(同)が展開するグルメ館は今年、予約の受け付け開始を例年より2週間早め、1月初めから行っている。予約件数は例年の2割増で推移し、担当者は「廃棄を減らそうという取り組みに、お客さんの理解も広がっている」と手応えを示す。

 ●当日品ぞろえも重要

 福井市の女性(41)は「予約するとお得だし、毎年予約して買っている」と予約は定着してきている様子。一方、別の女性(69)=同市=は「恵方巻きは毎年食べるけど予約まではしない。2人分だけだし、実際の商品を見て選ぶ楽しみもあるから」と、当日買う人も多いのが現状だ。

 全体の8割は予約なしで売れるという店もあり、小売関係者は「予約販売中心といっても、当日の品ぞろえも重要。店頭に置く分を思い切って大幅に減らすことはなかなかできない」と胸の内を明かす。各店では例年のニーズや販売実績、当日の天候から数量やラインアップを検討するなどし売れ残りを減らす構えだ。

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