【論説】全国で空き家の増加に歯止めが掛からない。この社会問題に対し長年、真っ向から取り組んでいる美浜町のNPO法人「ふるさと福井サポートセンター(ふるさぽ)」が、福井新聞など地方紙46紙と共同通信による「地域再生大賞」で大賞に選ばれた。民間の視点で空き家を減らせないかアプローチを繰り返し、先進的な支援システムも開発してきた点などが評価された。受賞を機に、ふるさぽのノウハウを生かした対策が全国に広がることを期待したい。

 空き家は、放置すれば災害時に倒壊して避難路をふさいだりするほか、犯罪者が入り込むなど治安の悪化も指摘される。2018年度調査によると、福井県内は総住宅数32万5千戸のうち、空き家が4万5千戸。率にして13・8%となった。全国では848万戸が空き家で過去最多を記録している。1人暮らしの増加を背景に新築の供給が過剰である一方、住人のいない家屋の流通や解体が進まない状況となっていると言えそうだ。

 11年に発足したふるさぽは、空き家を再活用して地元の活性化につなげようと活動を始めた。移住希望者と空き家を結びつけるマッチングツアーを定期開催し、これまでに52件のマッチングを成立させている。

 ただ単にマッチングに力を入れているだけではない。ふるさぽの特徴は、行政と連携しながら、空き家になる可能性のある家に対して早い段階で対策を講じることにある。空き家になってしまうと解体か再活用か決断するのに時間がかかったり、家族で意見が一致せず、結果、老朽化が進み再利用できない状態になってしまうことも多いという。その部分を少しでも解決しようと、家の売却または解体に必要な経費を概算するソフトを作ったほか、意思決定の緊急度を診断するサイトを開設するなど取り組みに力を注ぐ。

 もちろん空き家対策は国をはじめ県や市町なども講じており、危険な家屋を強制撤去できる権限が自治体に与えられるなど法整備も進めてきた。ただ、実際には所有者特定に時間がかかったり、連絡が取れないなど多くの障壁がある。強制撤去にしても財政難の中、簡単にはできない。その点でも空き家となる前に手を打つふるさぽの取り組みの意義は大きい。

 空き家の課題は全国共通とはいえ、地域で事情が異なる場合も多い。ふるさぽが行ってきた多くの手法の中には、各地で役立つものがあるはずだ。全国で生かしていく方法を考えたい。

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