福井県越前市の越前箪笥を取り上げたグレッグさんの動画のシーン(ユーチューブ「Life Where I’m From」より)

 福井県越前市内の伝統工芸を取材したカナダ人ユーチューバー、グレッグ・ラムさんの動画の再生回数が、昨年12月初旬の投稿から約1カ月半で80万回に迫る勢いを見せている。ラムさんは、日本の歴史や伝統に興味を持つ120万人が登録するユーチューブの人気チャンネルの運営者。市は訪日外国人客の誘致効果を期待している。

 国の地方創生推進交付金を財源に2020年度まで展開する訪日客誘致事業の一環として、市がラムさんを招へい。欧米向けの人気ユーチューブチャンネル「Life Where I 'm From(ライフ・ウェア・アイム・フロム)」を運営するラムさんは昨年10月、2泊3日の日程で市内に滞在し、越前打刃物や越前和紙、越前箪笥(たんす)の産地をそれぞれ取材した。

 市側の依頼は動画1本の投稿だったが、ラムさんは12月4日を皮切りに3本を投稿。1本目は「一番関心があった」という打刃物がテーマで、龍泉刃物(池ノ上町)の増谷浩司社長へのインタビューを軸に構成した。製造過程の収録だけでなく「自分たちが信じているのは、刃物に命を吹き込むこと」(増谷社長)という職人のこだわりも丁寧に取り上げた。再生回数は1カ月足らずで60万回を突破し、今月19日現在で約79万2千回となっている。「この動画は最高」「日本の職人が大好き」などのコメントも600件以上寄せられている。

 2本目は、龍泉刃物で教わった研ぎをラムさんが自宅のキッチンで実践する動画。3本目は市内の伝統産業すべてを取り上げた。越前箪笥の隠れた引き出しのからくりをはじめ、越前和紙の豊かな素材感やデザインにもスポットを当て、越前市について「混雑した京都と違って落ち着いて日本の伝統に触れられる場所」と太鼓判を押している。

 視聴者の反応は、ラムさんのほかの投稿と比べても上々。龍泉刃物には海外の個人からの問い合わせが急増し、増谷社長は「反響の大きさに驚いている」と話す。市の担当者は「砂漠に水をまくような80万回ではなく、日本に興味がある人たちに向けての80万回。特定のマーケットに訴求力があるはず」と手応えを感じている。

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