関西空港の検疫検査場付近に設置された、新型コロナウイルスによる肺炎への注意喚起=1月22日午前

 【北京、ワシントン共同】中国の国家衛生健康委員会は1月22日、記者会見を開き、湖北省武漢市から感染が広がる新型コロナウイルスによる肺炎の死者は計9人、発症者は440人に上ったと発表した。新型肺炎を巡り、中国政府が記者会見を開くのは初めて。情報公開への積極姿勢をアピールする狙いがありそうだ。

 一方、米疾病対策センター(CDC)は21日、武漢市から帰国した西部ワシントン州シアトル近郊に住む30代男性がウイルスに感染しているのを確認したと発表。アジア以外での発症者や感染者の報告は初めてで、感染の広がりが明らかになった。

 中国の国家衛生健康委員会幹部は専門家の見解として「ウイルスが変異する(感染力が増す)可能性がある」と指摘、感染拡大の危険があると警戒を呼び掛けた。

 中国では24~30日の春節(旧正月)の大型連休で大規模な人の移動が見込まれる。水際対策などによる拡大の抑止が課題になりそうだ。

 CDCによると、男性は武漢市に渡航後、15日に米国に入国。体調不良のため19日に医療機関を受診した後、検査で感染が分かった。国籍は明らかにされていない。

 現在の症状は軽いが、経過観察のため、隔離された状態で入院している。一部発症者が訪れていた武漢市の市場には行っておらず、発症者とは接触していないと話しているという。

 CDCはニューヨークなどに加え、新たに南部アトランタと中西部シカゴの国際空港でも検疫態勢を強化する方針。

 これまでに中国以外では日本、タイ、韓国、台湾で発症者が報告されていた。
 

 【北京共同】中国国内で22日までに、新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が300人を超えた。患者急増を受け、感染の深刻さを過小評価したり、肺炎に関する情報をインターネットに投稿した市民を処罰したりした地元当局の初期対応に批判が拡大。対応が後手に回って事態を悪化させたとして当局者の責任追及を求める声も上がり始めた。

 中国では昨年12月、湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が続出しているとの情報がネット上で出回った。同月末、感染者が多く出ているとうわさされていた市内の海鮮市場を地元紙記者が訪ねたところ、依然として営業を続けていた。肺炎を巡る騒ぎを黙殺していた当局は、同紙の報道の翌日に市場を閉鎖した。

 武漢市当局は今月初旬、ウイルス性肺炎について「拡大を防げる」「人から人への感染は確認されていない」などと説明。しかし感染は中国各地や日本を含む国外に広がり、人から人への感染も確認された。

 また、市公安当局は今月1日、「ネット上に事実でない情報を公表した」として8人を処罰したと発表。ただ、その後中国政府の専門家グループが発表した内容とネットに出回った情報は重なる部分が多く、「何を根拠にデマと判断したのか」「不都合な情報を隠蔽(いんぺい)しようとしたのではないか」と処罰を疑問視する見方が出ている。

 武漢市出身のメディア関係者は「でたらめな対応を続けた市幹部らは責任を取るべきだ」と憤った。
 

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