中国湖北省武漢市の鉄道駅で行われている利用客の体温検査=1月21日

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、中国に進出している福井県内企業は一様に警戒感を強めている。企業は現地従業員にマスクの支給を進めているほか、日本からの不要不急の出張を控える動きもみられる。一方、中国からの訪日観光客が一気に増える春節(旧正月)の大型連休(24~30日)を目前に控え、福井県内の百貨店やドラッグストアでは特に目立った対策は取ることなく営業する構え。

⇒コロナウイルスの症状、感染恐れは

 中国などから繊維関係の実習生を受け入れている遼日産業協同組合(大野市)は、受け入れ時期が3~4月のため「現時点では静観」(担当者)と事態の推移を見守る。2003年に中国で広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行時には、実習生を入国から1カ月間、外部と隔離した施設で研修させるなどの予防措置を取った。担当者は「仮に春先も中国で感染拡大していれば、国の方針などを確認してSARS流行時のような対策を取ることもある」と話した。

 中国に現地法人を持つ江守商事(福井市)は先週、上海、深セン、香港の3拠点に、親会社で医療品販売などの興和グループ(名古屋市)のマスクを送付した。従業員に業務中を含めたマスク着用を指示し、感染防止に努めている。1月21日には、中国に出張する社員にマスク着用するよう注意喚起した。

 「春節前後はもともと休暇で出張は少ないが、不要不急の出張は控えるようにしている」とするのは、広東省汕頭(すわとう)市や上海など中国5カ所に製造・営業拠点を持つSHINDO(あわら市)。現地従業員に手洗い、マスク着用など感染防止の対策を呼び掛けた。

 上海などに子会社を持つセーレン(福井市)は、現時点で注意喚起などは行っていないが、「中国国内で武漢市以外にも感染が拡大しており、状況を見ながら対応を考えていかないといけない」(広報担当者)とした。

 延べ約30億人が移動するといわれる春節の大型連休にも警戒感は強い。広東省と福建省に工場、上海と北京に販売拠点を構える眼鏡枠企画製造販売のシャルマン(鯖江市)は「春節休暇に多くの人が集まる場所に行かないよう注意を促している」と話す。同社では従業員が感染した場合、出社停止にする方針で「感染が一気に広がっているようで、春節明けがどうなるか心配だ」と話していた。

 中国や韓国の電池メーカーと取引がある田中化学研究所(福井市)は「今後、感染拡大で渡航が制限されるようであれば影響が出るだろう」と懸念する。

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