いきものがかり『WE DO』

 5年ぶりとなるオリジナル。約2年間の活動休止を経て、“いきもの”色はより明瞭になった気がする。

 本編の全13曲は、1曲目の「未来へはみだせ」と歌う『WE DO』、2曲目の美メロ系エールソング『SING!』と、タイトルはハジけていても、実際は普遍的なポップスが続く。全体に、サビから始まる曲や、「花」や「桜」が出てくる詞がとても多く親しみやすい。突飛な楽曲が増えているポップス界において、ここまで王道を極めるアーティストは逆に貴重だ。

 また、基本形は変わらずとも、柔軟に“いきものらしさ”を増幅しているのも本作の旨味だ。例えばウォール・オブ・サウンドを取り入れた『STAR LIGHT JOURNEY』や70年代ディスコ風の『しゃりらりあ』の編曲が、実は彼らによく似合っている。また、『アイデンティティ』や『きみへの愛を言葉にするんだ』は、共に迷いを経た上での希望が歌われており、2年前よりも深みが増した。

 さらに、山下作詞・作曲でささやかな幸せを歌った『スピカ』も、吉岡作詞・作曲の失恋ソングの『口笛にかわるまで』も、水野の作風に通じるものを感じる。当然、3人で詞曲やコーラスをした『太陽』も一体感が強く、家族や友達の大切さがよく伝わる。

 初回盤には19年のツアーから新曲も含め80分近いLIVE音源を収録。終盤の盛り上げ方も、吉岡のタフな歌声も健在だ。本作を聴けば、王道には王道にしかない魅力があることを再認識するはず。

(ソニー・2CD初回限定盤 4200円+税)=臼井孝

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