えちぜん鉄道の車両をモデルにした絵本「でんしゃをはこぶ」

 福井県を走る「えちぜん鉄道」の車両をモデルにした福音館書店の絵本「でんしゃをはこぶ」ができた。子どもたちの寝静まった夜、関西の車両工場で中古車両から新しく生まれ変わった電車が北陸の鉄道会社に道路で運ばれてくる光景を、札幌市のイラストレーター鈴木周作さん(47)が水彩色鉛筆と文章で優しく表現した。えち鉄の旧社屋やかつての福井口駅ホームなどを思い出させる懐かしい描写もある。全国の書店で販売されている。

 この絵本は5~6歳向けに月刊で発行されている「かがくのとも」の2020年2月号。鉄道会社の名前や地名は登場しないが、白色を基調に青色と黄色のラインが入る車両の絵はえち鉄そのものだ。

 モデルとなったのは7000形と呼ばれる車両。JR東海の飯田線(愛知県豊橋市―長野県辰野町)で活躍後、2012~14年度に順次譲渡された。鈴木さんは14年秋、兵庫県尼崎市内の車両工場でえち鉄用に改修された2両編成の電車が福井市内の車両基地に運ばれる様子を、先回りしたり後追いしたりして取材した。

 線路ではなく道路を走るため、「ヤッコ」という特殊な台車が取り付けられる作業をはじめ、日中の道路交通の妨げにならないよう夜の大阪、京都とみられる市街地や険しい山道をトレーラーにけん引されて走る姿、作業員たちの活躍を旅情たっぷりに表現。えち鉄らしき鉄道会社に着いて車両基地で点検を受け、客を乗せて営業運転を始めるまでが描かれている。裏表紙では、奥越とみられる雪山を背景に疾走している。

 鈴木さんは2008年に福井県内で開かれた全国路面電車サミットに参加した際、えち鉄社員の奮闘や沿線住民、サポーターたちの温かさに感動。えち鉄と沿線風景を描くようになり、同社の2011年カレンダーから挿絵を担当している。

 絵本には7000形のほかにも、えち鉄の旧社屋や地上駅当時の福井口駅と福井駅のホーム、新しい電車と入れ替わりで廃車となった旧型車両を想起させる絵が登場する。周囲の景色にJR北陸線高架と北陸新幹線福井駅部らしきものもさりげなく描写されている。細部にこだわり、えち鉄への愛情にあふれている。

 鈴木さんは「子どもたちに『電車ってこうやって運ばれるんだ』ということを知ってほしい。地元福井の皆さんには懐かしい風景を楽しんでもらえれば」と話している。

 縦25センチ、横23センチで28ページ。定価440円(税込み)。書店で取り寄せることができる。

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