デスクワークで腰痛、原因と治療法は

 デスクワーク中心になった60歳の夫が、ひどい腰痛に悩まされています。右脚の付け根や太ももが痛み、車の乗り降りや玄関の段差でつまずくようになりました。関節に不調はなく、筋肉の痛みとしびれがあるようです。本人は病院に行きたがりませんが、何か病気の端緒ではないかと心配です。考えられる原因を教えてください。(60歳女性)

【お答えします】井上啓・福井県済生会病院整形外科医長

 ■いわゆる「座骨神経痛」の可能性 

 生活や仕事の環境が変化すると腰にかかる負担が増え、腰痛を生じやすくなります。相談者は腰痛とともに右下肢の痛みが出現していますので、腰椎(腰の背骨)から下肢へとつながる神経のうち座骨神経が圧迫されている、いわゆる「座骨神経痛」の可能性を考えます。座骨神経の圧迫が強まると、下肢の痛みやしびれだけでなく、下肢の筋力低下を生じることがあり、段差につまずくようにもなります。

 神経の圧迫の原因はさまざまで、背骨のクッションの役割を果たしている椎間板が脊柱管(神経の通り道)に飛び出した「椎間板ヘルニア」や、加齢変化で腰椎が変形し脊柱管が狭くなった「腰部脊柱管狭窄症(きょうさくしょう)」、腰椎にずれが生じた「腰椎すべり症」などが挙げられます。また、腰椎に圧迫骨折を生じた後、骨の一部が神経を圧迫することもあります。

 同じ症状であっても、その原因によって治療方法が異なりますので、医療機関でしっかり検査をしてもらうことが大切です。腰椎のエックス線撮影やコンピューター断層撮影装置(CT)で背骨の骨折、ずれがないかを確認し、磁気共鳴画像装置(MRI)で神経が圧迫されていないかどうか判断するのが望ましいと考えます。

 ■原因に合わせた治療選択を

 腰や下肢に痛みを抱えたまま生活するのはとても大変なことです。鎮痛剤の内服で痛みを和らげることができます。下肢の痛みを我慢するあまり力がうまく伝わらず、つまずきやすくなっている場合には、鎮痛剤によって症状の改善が期待できます。

 医療用のコルセットを用いて背骨を安定させることで痛みの軽減を図る方法もあります。特に骨折やずれで背骨が不安定な場合には有用です。

 神経の圧迫によって下肢の痛みや筋力低下が進行した場合には手術を考慮します。椎間板や骨、靭帯を切除したり、不安定な背骨を金属で固定したりすることで、神経の圧迫を解除します。

 大切なのは症状の原因を見いだして、ご本人に合った治療方法を選択することだと思います。まずは整形外科医に相談してみてはいかがでしょうか。

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