国山の神事で五穀豊穣を願う演目を奉納する男衆=2013年1月3日、福井県福井市国山町の八王子神社

 福井県福井市殿下地区の山村、国山町に伝わり、400年以上の歴史があるとされる国選択無形民俗文化財「国山の神事」が、過疎化で消えようとしている。五穀豊穣を願い、4年ごとの1月3日の夜に歌や動作で農作業を表現してきた伝統行事は2013年の奉納が最後で、代わりに続けてきた歌のみの奉納も今年は行われなかった。本来なら次回の神事は来年だが、保存会の会員たちは「やりたくても人がいないからできないだろう」と嘆いている。

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 神事は、主役2人をはじめ29役あり、男児を含む集落の男衆が集落内の神社で5時間近くかけて奉納する。かつては毎年2月3、4、6日に集落内の3軒の家で練習し、7日に本番を行ってきた。保存会によると、住民が減って負担が大きくなった1969年以降は4年に1度となり、77年からは会社勤めの住民が参加できるよう1月3日に本番のみを行うようになった。

 奉納する歌は1時間半近くになり、主役は歌詞と節回しを暗記し、所作も覚えなければならない。4年に1度となり練習日が減ったため質の維持が難しくなり、98年に住民が保存会を立ち上げた。崩し字で書かれた歌詞の写本を現代字で読みやすくした練習本を作り月2回、節回しや衣装の着付けを長老から教わり伝承に努めてきた。

 だが、肝心の演じる住民は減り続け、男児は本来必要な8人を確保できなくなった。集落を離れた元住民の孫に参加してもらったり、1人で2役をこなしたりして続けてきたが、住民の高齢化で、太鼓を片手で持って延べ30分以上たたく体力も必要な主役の担い手がいなくなり、2013年の奉納を最後に保存会は月2回の活動を休止。17年は奉納しなかった。

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