JR福井駅西口の再開発エリアのホテルに米マリオット・インターナショナルの進出が決まり、記者会見するショーン・ヒル上席副社長(中央)と杉本達治知事(右)=1月15日、福井県庁

 新幹線時代の福井県の県都の顔となるJR福井駅西口の再開発エリアで計画されているホテルに、世界最大手の米マリオット・インターナショナルの進出が決まった。インバウンド(訪日外国人客)を含む県内への誘客強化に向け、杉本達治知事は1月15日の会見で「立ち向かう武器を手にした」と期待を込めた。福井市中心市街地のまちづくり関係者は波及効果を生かしたいと歓迎する。県内事業者には、“本物”の食や文化を求める新たな宿泊客層のニーズに見合ったサービス提供が求められそうだ。

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 「インバウンドも含め、多くの富裕層を中心とした誘客に期待している」。杉本知事は、2023年春の北陸新幹線県内延伸を見据えて官民で結成した協議会が掲げるインバウンド誘客の目標に触れ、「開業するころには(年間の外国人延べ宿泊客数)30万人に持っていきたい」と力を込めた。「武器」の一つはマリオット社が抱える顧客網。世界1億3千万人規模の会員に対する情報発信効果への期待は大きい。

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 建て替えを検討してきたユアーズホテルフクイが、商標を得て自社で運営するフランチャイズ形式を選ばずに、運営をマリオット社に全面的に委託する契約を選んだことで、ホテル世界最大手のノウハウと集客力がフルに発揮される形となった。

 インバウンド獲得の期待が掛かる中で、「われわれだけで独自に海外に情報発信するのは難しいと判断した」と、ユアーズホテルフクイの担当者。同ホテルの看板はなくなることになるが「我を出して万が一うまくいかなければ、県都の顔に泥を塗ることになる。プロジェクトの成功を第一に考えた」と契約の背景を打ち明ける。

 「新たなホテルは中心市街地のシンボルになっていくだろう」と受け止めるのは、福井市の第三セクターまちづくり福井の岩崎正夫社長。「まちの格が上がることになりそう。それに堪えられるようにまち全体のおもてなしのレベルを上げていかないといけない」と述べ、富裕層も意識した飲食サービスなどの提供を課題に挙げた。インバウンド受け入れには、免税店の拡大やキャッシュレス決済の推進、多言語対応も必要になる。

 福井の美食文化を発信している福井ガストロノミー協会専務理事で料亭「開花亭」(福井市)の開発毅社長は「地方の本物の文化に期待する外国人にとって、福井は長い間通過点になっていたが、ようやく堪能してもらうためのハブ(拠点)ができる」と歓迎。今後求められる取り組みとして「価値を理解してふさわしい対価を払ってくれる上質なお客に対し、期待に応える商材を創造していかないといけない」と指摘した。

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