中国・武漢で新型コロナウイルスによる肺炎の患者に対応する医療従事者ら=1月27日(新華社=共同)

中国・武漢市で発生した肺炎の原因とされる新型のコロナウイルスの電子顕微鏡写真(中国疾病予防コントロールセンター、GISAID提供)

 中国湖北省武漢市で発生している新型のウイルス性肺炎に関し、日本国内では感染者が3月に入って1000人(クルーズ船の感染者を含む)を突破、死者も出ています。世界の感染者数は10万人に上ります。新型肺炎の症状やコロナウイルスの特徴はどんなものなのか、詳しく解説します。(2020年3月6日時点の情報です。)

 Q どのような症状なの。

 A 症状として目立つのは長く続く発熱や強い疲労感です。診療を経験した医師の一人は「インフルエンザでは3日程度で下がる熱が1週間ほど続いた」と話しています。ほかに多いのが、せき、筋肉痛、呼吸困難。頭痛やたん、下痢を伴う場合もあります。潜伏期間は長くて14日程度との見方が有力です。ただ、2週間の経過観察を終えた中国の女性が、隔離解除の6日後に発症したケースもあります。無症状の感染者が見つかったとの報告もあり、自覚のないまま多くの人に接触し感染を広げる恐れがあります。

 Q 死んでしまうぐらいの病気なの?

 A 世界保健機関(WHO)は、致死率が約2%で比較的低いとの見解を示しています。「重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ほど致命的ではないとみられる」との見方です。

 Q うつりやすいの?

 A 飛沫(ひまつ)感染といいますが、ウイルスを含むせき、くしゃみから広まります。ドアノブやスイッチなどに付いたウイルスを手で触ってしまい、口や鼻からウイルスが入ることもあります。

 Q 一緒にいるだけでもうつるのかな?

 A 「濃厚接触」といって、感染者と一緒に生活したり、2メートルほどに近づいた状態で長時間すごしたりすると危険は高くなるそうです。ドアノブやスイッチなどに付着したウイルスを触った手で口や鼻をさわることで感染することもあります。

 Q 一度かかったら、もうかからない?

 A まだ不明ですが、中国広東省の衛生当局によりますと治療後に退院した患者の14%から再びウイルスの陽性反応が出ていると発表しました。原因について科学的結論は出ていないとしながら「(再び陽性となった患者の)大部分は全快していなかったとみられる」と指摘しており、ウイルスが間欠的に検出されるのではないかとの判断を示しています。

 Q マスクは効くの?

 A 本来はせき、くしゃみをしている人が周りにウイルスを広げないためのものです。着け忘れたら、袖やハンカチで口と鼻を覆ってくしゃみを抑えるのがマナー。手のひらは駄目です。ウイルスが付いた手であちこちを触ってしまいますから。それに、マスクを着けていれば汚れた手で鼻や口を触るのを防げます。

 Q やっぱり、高価なマスクがいいのかな?

 A スーパーなどで買える使い捨てのマスクで十分です。大事なのは、すき間をつくらないこと。鼻からあごの下まで覆い、顔とマスクがぴったり付くようにしてください。マスクの表面にはウイルスが付いているかもしれないので触らず、使用後は必ず捨てましょう。

 Q 手洗いは?

 A 一番汚れる爪の先はもちろん、忘れがちな親指や手首もせっけんできちんと洗いましょう。家族でも、タオルは別々にすると安心です。マスクを着けてこまめに手洗いをすることの効果は科学的に証明されています。

 Q 消毒は?

 A アルコールは、今回のウイルスの膜を壊してくれるので効果ありです。アルコールを含んだ消毒薬を手のひらにたっぷり取り、両手全体にまんべんなく広げてすり込んでいきます。手のひら、手の甲、指先や爪の間、指の間にもすり込み、親指、手首も忘れずに。両手が乾いた状態になったら完了で、正しく行うと20秒くらいかかります。手洗いの後にアルコール消毒で仕上げをすれば最も丁寧です。エレベーターのボタンなど、不特定多数の人が触れる場所は、こまめに消毒したいですね。皮膚は消毒用アルコールが、手すりなどは次亜塩素酸ナトリウムがいいそうです。自治体や保健所のウェブサイトに説明があります。

 Q ペットの犬や猫などの動物からもうつる?

 A 香港でペットの犬が感染したという事例がありました。しかし、WHOは「犬や猫などのペットがこのウイルスに感染したり広げたりした証拠はない」と説明しています。ただペットに触った後の手洗いは大切だとしており、野生動物についてはリスクが不明なので、接触を避けるよう呼び掛けています。

 Q それでもうつったらどうなるの?

 A 熱、せきなどが症状ですが、今はまだそこまでの心配はいりません。厚生労働省の電話相談もあります。番号は03(3595)2285です。

 Q どのように診断しますか?

 A 厚労省によりますと、「咽頭ぬぐい液(インフルエンザの検査と同じように綿棒でのどをぬぐってとった液体)を使って、核酸増幅法(PCR法など)でウイルス遺伝子の有無を確認します。

 Q どの病院で診てもらえばいいの?

 A 厚労省は、感染の疑いがある人を専門的に診察する「帰国者・接触者外来」の医療機関への設置を47都道府県に要請。これを受け、各都道府県の病院に専門外来が設けられています。

 例えば福井県だと、相談センターが設けられていて、▽37・5度以上の発熱と呼吸器症状がある▽発症から2週間以内に武漢市を含む中国湖北省に渡航歴がある―など感染の疑いがある人が対象に相談を受け付けており、外来の受診調整を行うほか、病院への入り方などを助言します。専門外来は県内6病院に設けられていますが、県は相談センターを通さずに直接医療機関を受診されると十分な感染防止ができないとして、外来を設置した病院名を公表していません。まずは相談センターに電話しましょう。

 Q 初期症状が風邪と似ていて、病院に行くタイミングが分かりません。

 A 厚生労働省が公表した受診の目安によりますと、風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続くか、強いだるさや息苦しさがある人は、全国の保健所に設けられた帰国者・接触者相談センターに相談するよう求めています。該当する症状があった場合は、学校や会社を休み、外出を控え、毎日体温を記録するよう求めています。

 Q 新型コロナウイルスの原因は、どこまで調べたの。

 A 肺炎は、インフルエンザウイルスなどによって引き起こされることが知られていますが、検査で既知の病原体は見つかりませんでした。現地のメディアは患者から新型のコロナウイルスが検出されたと報じています。新型コロナウイルスは、遺伝子レベルでは89%がかつて中国やアジアで流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスと同じだとする分析結果が出ています。ヘビを介して人に感染したとの研究もあります。

 Q コロナウイルスとは。

 A ウイルスの一種で哺乳類や鳥類の呼吸器や消化器に感染します。人が感染した場合、症状は軽いケースが多く、風邪の原因の約15%を占めるとの研究報告があります。ただしコロナウイルスの中には、2003年に中国で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、中東地域で発生している中東呼吸器症候群(MERS)のように、重症化しやすいものもあります。SARSはコウモリ、MERSはラクダから人に広がったとされ、動物と接触する場合には注意が必要です。

 Q 閣議決定で「指定感染症」となりましたが、指定感染症とは。

 A 結核やH5N1型鳥インフルエンザなどの「2類感染症」と同等扱いになります。全国に約400ある感染症指定医療機関への強制的入院のほか、患者に仕事を休ませたり、汚染された場所を消毒したりすることができます。医師は見つけた患者を保健所に報告しなければならなくなります。今回と似たコロナウイルスによる中東呼吸器症候群(MERS)と重症急性呼吸器症候群(SARS)も、いったん指定感染症になった後で2類感染症に分類されました。

⇒【図解】新型ウイルス性肺炎の対策ポイント

 Q 治療法はあるの?

 A 根本的な治療法は確立しておらず、ワクチンもありませんが、既存の薬が効く可能性があるとされています。候補の一例として、エボラ出血熱の治療のために開発された抗ウイルス薬などです。アメリカの国立衛生研究所(NIH)は1月、新型コロナウイルスのワクチン開発に着手したことを明らかにしました。3カ月以内に人に投与する臨床試験を始め、3カ月で安全性を評価。さらに規模を広げた臨床試験に進むことを目指しているそうです。

 また、国立国際医療研究センターは2月6日、国内で新型コロナウイルスの感染が確認された中国人にエイズ治療薬を投与したところ、症状に改善傾向がみられたことを明らかにしました。イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームもワクチンとして期待される薬の開発を始めました。十分な研究費が確保できれば、人に投与する臨床試験を今夏に行うとしています。

【おさらい】指定感染症の対策ポイント

 指定感染症に指定されると可能になる新型肺炎対策のポイントは次の通り。

 一、生命や健康に深刻な被害を与える恐れのある緊急時に迅速な対応をするために指定。

 一、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じ2類感染症と同等の措置が法改正を経ずにできる。

 一、設備や態勢を備えた全国約400の指定医療機関への強制的な入院の他、就業制限、汚染された場所の消毒が可能に。

 一、入院中の治療費は公費負担。

 一、患者を見つけた医師には報告義務。

 一、指定期限は最長1年間。必要に応じて1回に限り1年の延長ができる。

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  厚生労働省は新型肺炎に関する相談窓口を設けています。

 電話番号=TEL0335952285

 受付時間は午前9時から午後9時です。

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