【越山若水】昨年日本でも公開され話題になった映画「ニューヨーク公共図書館」が、福井市のメトロ劇場で上映されている(17日まで)。本館や約90の分館から成る世界最大級の“知の殿堂”の実像に迫った作品だ▼図書館といっても、就職情報の提供からダンス教室など活動範囲は幅広い。点字・録音本や黒人文化研究に特化した図書館もある。インターネットの活用や蔵書資料のデジタル化を推進する▼個人の力を伸ばすだけでなく、地域コミュニティーの拠点となっている。社会から人々を孤立させないという方針が貫かれ、移民を手厚くサポートし、ホームレスへの対応も議論される。民主主義に情報は不可欠であり「図書館は民主主義の柱」との発言が印象に残った▼財源はニューヨーク市の出資と民間からの寄付。限られた予算を紙の本と電子本、ベストセラーと推薦本にどう配分するか、行政の要望にどう対応し予算を確保するかなど幹部会議での議論は尽きない。映画から、社会の課題解決に果たす図書館の役割の大きさや図書館の未来が垣間見える▼日本でも生活学習支援をはじめ図書館へのニーズは多様化している。福井県立図書館は県民1人当たり貸出冊数が、都道府県別で6年連続日本一にもなった。今年4月には開館70年を迎える。さらにサービスを充実し、日本の図書館のトップランナーを目指してもらいたい。

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