浜田麻里『Mari Hamada 35th Anniversary Live“Gracia”at Budokan』

 周年ライヴならではの気合と祝福のムードがふくれあがって、会場にパンパンに充満しているのが伝わってくる。それもそのはず、浜田麻里デビュー35周年を記念して開催された、じつに26年ぶりの武道館公演だったのだそうだ。即日完売となったライヴの模様が、アンコールも含めた26曲完全収録された2枚組だ。

 その音楽性は王道というべきハードロック、けれどバンドではなくボーカリストとして一人で立つ、という独自のキャリアを重ねてきた浜田。その比類なき存在を貫き続けられた理由を、一曲目のハイトーンボイスでガツンと突きつけられたようで、いきなりノックアウトされてしまった。鍛錬のたまものというべき透明感とパワーは、私が最初に彼女を知った“あの頃”に比べて衰えるどころか完成度が高まっているではないか。なんという実力、なんという奇跡だろう。

 代表的ヒット曲のひとつ『Return to Myself』を、ぜんぜん山場にもってこずに通過点のように扱っていたことで、やっと事態を飲み込めた。彼女はずっとずっと先を走り続けていたのだ。再び彼女と出会い直したような、放心状態であっという間に見終わった。これはしばらく周囲に“布教活動”をしてしまいそうだ。

(ビクターエンタテインメント・7000円+税)=玉木美企子

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