【ゆるパブ】スマホ世代の高校生、校則との距離感

 スマホ世代の実像に迫る「ゆるパブオフ会in福井県立若狭高校」。最後に高校生が校則についてどう考えているのかについて紹介したい。インターネットが世に広まる前、情報はマスメディアと自らが住んでいる地域からしか仕入れることができなかった。なので、親や先生ら身の回りの大人のいうことは「正しいこと」としてかなりの重みがあったが、今は違う。ネット上にはいろんな意見があふれていて、回りの大人の言うことも「いち意見」に過ぎなくなった。そんな中、校則の捉え方も変わってきているようだ。そして生徒を指導する側の先生の考え方にも変化が…。

 ■校則との距離感

 「茶色い地毛やのに校則で髪の毛を黒に染めなあかんとかいうのがあって、それは地毛なのになんで染めなあかんのやって疑問に思った」。若狭町出身の2年生女子は印象に残ったネットニュースについてこう話した。また中学時代について「他の学校は結構スカートの丈が短かったんですけど、自分らはスカートが長くて、靴下も長いのしかはいちゃ駄目っていうルールがあって、なんでそこから変化せんのやろっていうのをずっと思ってました」と首をひねった。

 おおい町出身の3年生女子は「赤リップとか、眉毛とか普通にかきたかったなっていうのはあります。みんなかいているし、でも高校のルール的にはだめって矛盾しとって、だから怒る先生もいれば怒らん先生もいるし。なんかどうすればいいんかなって。このまま自分の意志のまま、やりたいんやったらやるっていうのでいいんかなって」と葛藤を口にした。多くの高校生の声を代弁したような言葉だったが、テーブルの反対側に座る先生の前で堂々と自分の意見を言えることに正直驚いた。

 高校時代は茶髪だった若新雄純・慶応大学特任准教授も高校生たちの考え方に同調した。「ルールってずっと変わっていくので、古くなったら変えるっていうのがルールの、ルールにおける大事なルールだと思うんだけど、僕も中学の時も高校の時も校則を変えましょうみたいな運動はあったんやけど、校則を変えようっていう運動がすごい危険視されてたの。ルールは変えることができるからこそルールとして機能するんだけど」。

 果たして先生はどう考えているのか…。

 ■先生もバラバラでいい

 50代の教員が口を開いた。「今はもう変えていっていいんじゃないですか。昔は変えるも何も情報が入らなかったので、それしか知らんかった。おかしいとか思うことが我々の時はなかった」。先生側も生徒たちの不満に全く耳を貸さないわけではなかった。

 葛藤も口にした。「全体を考えると一律という風になる。ただ、担任として言う場合には、一人一人の中でこの子に対しては、こっちの指導法がうまくいく可能性があるということであれば、そっちの方法を使いつつ、でもみんなの前では『こう言うからね』っていうような言い方をその子にする場合もあれば、でも違う子にはこのときとは違う話を全体としてした場合に、それが納得できないという子には、また別の話をするかもしれない。ちょっと個別に変えたりします。ただ、個別で変えたときに、変えて後であっちからもこっちからも、あの子だけっていうことが出てこないようにはしないといけないです」。

 しかし生徒は納得しない。3年生女子は「それって先生の主観によって変わるくないですか。それぞれに合わせた対応をするって言ってるけど、対応の基準っていうのが、本当に合ってるかというのもわからんし」と不満顔だった。これに対し先生は「分からんけども、一応まぁ先生が思う基準っていうのが自分の中にあって、それを強制するっていうのは駄目かもしれないけど、自分の中でこの子にはこの方法が合うだろうと思うから、そういう言い方をする。その辺は先生によって違うので、そこらへんが納得できんっていうのがまたあったりする。あのタイミングとこのタイミングで、またここのところで違うというのがあるじゃないですか。そういう話が出てくると、また…。全体で一律でこうしましょうという言い方もします」。

 少し明確さを欠く先生の姿勢に理解を示す生徒もいた。「普通。逆になんか、みんな一緒だったら恐い」(おおい町出身の2年生男子)、「ピシッとしてる先生から、のんびりしてる先生から、先生もいろいろなんで、考え方も人それぞれ違うっていうのは、授業とかやっとっても、この先生はこういう考え方なんやなっていうのはあるんで、違うなっていうのは納得しています」(若狭町出身の2年生女子)。正しさにもいろいろあることを何の気なしに受け入れているようだった。

 小浜市出身の1年生男子はさらに言葉を尽くして思いを説明した。「先生の違いでいうと、僕の担任をしてくださってる先生は、とってもルーズな(笑)、自由な先生。自由な先生で、校則とかに厳しくないんですけど、他の先生だと厳しい先生もいらっしゃいますし、それこそ全然バラバラで。多様性の時代とか言われていて、そもそも全員が同じ価値観であったら、それこそ軍隊みたいでおかしいような。規則が第一ってことになってしまうと、個人の自由が求められなくなってしまうので、それこそ先生自体に個性があって、個性を出していけるという自由があるのを生徒から見たときに、自分たちも個を出していってもいいのかなというのを高校に入って強く感じました」。

 多様性の時代を生きる高校生たちは、すでにその素養を身につけているように感じた。若新さんも高校生たちに感嘆した。「みんな肉体的に田舎に暮らしてるってだけだよね。僕、ふだん東京でテレビでえらそうに話してるけど、きょう話してて田舎くさいと思うことは1秒もなかった。完全に現代の日本の話やった。田舎っぽさゼロ。完全に現代の最先端。すごいわ」。

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