ラグビー全国大学選手権で11大会ぶり16度目の優勝を果たし、笑顔で記念撮影する早大フィフティーン=国立競技場

 1月11日に行われた、令和最初のラグビー大学選手権決勝の舞台は新しい国立競技場だった。

 対戦したのは早稲田大学と明治大学。

 両校のライバル物語は大正時代にまでさかのぼるが、令和という新しい時代の決勝で、日本のラグビー史を彩ってきた両校が顔を合わせたことには感慨深いものを感じる。

 今季、12月1日に行われた対抗戦では、明治が36対7と圧勝。決勝での再戦も、12月のことを思えば明治有利と見るのが自然だった。

 しかし、早稲田は「早明戦」で完敗したことを真摯に受け止め、大学選手権に入ってから高い学習能力を発揮する。

 12月21日の日本大学戦では、57対14と圧倒。早明戦の大敗を受け、相良南海夫監督が「ディフェンスにフォーカスを当てました」と話し、選手たちに防御の意識を徹底させていた。

 そして1月2日の準決勝では、一変してアタックを強調する。留学生を擁し、攻撃力が自慢の天理大学に対して真っ向勝負を挑み、今度は52対14で攻め勝った。

 そして決勝の明治との再戦。前半に早稲田が取り組んできたことが結実する。

 ディフェンスでは深いラインを敷く明治バックスに対し、低いタックルで次々に刺さる。攻めては準備してきたラインアウトからのセットプレーで、少ないフェイズでトライを取り切る。

 このあたり、強力な明治フォワードに対して数少ないチャンスを生かすべく、コーチ陣が周到にアタックをデザインしてきたことがうかがえた。

 昭和から連綿と続く早稲田の「知恵」が久しぶりに垣間見えた。

 前半を終わってスコアは31対0。

明治の武井日向主将は試合後「トライを畳みかけられて、パニックになりました」と語った。

 後半に入って明治が盛り返すが、あまりにも前半で背負ったハンディが大きすぎた。

 最終スコアは45対35。早稲田が11年ぶりに優勝し、新しい国立競技場に勝利の部歌「荒ぶる」の合唱が響いた。

 それにしても、学生スポーツは難しい。1シーズンで2度対戦した場合、ラグビーに限らず連勝するのは困難なのだ。

 ラグビーの早稲田と明治も1勝1敗、アメリカンフットボールの関西学院大学と立命館大学も1勝1敗だ。

 対人競技ではないが、大学3大駅伝では出雲は国学院大学、全日本は東海大学、そして箱根駅伝は青山学院大学と勝者が分かれた。

 最初に勝ったチームは、現状維持を基本としてベースアップを図る。勝っているだけに、大きな路線変更はできない。

 しかし、ライバルに敗れたチームは弱点を見直し、勝利への方程式を探る。

 早稲田の相良監督は、チームの強みを全面的に出した戦いができるようになったのは、1月に入ってからだったという。

 「うちの選手たちの顔ぶれを見ると、やはりアタックで勝ち切ることが最善の道でした」

 早明戦での敗戦が選手たちの意識を変え、ディフェンスの向上が12月中に図られた。防御の整備がなされてから、最終的にアタックの仕上げに取り掛かり、それが決勝で結実した。

 大学スポーツの妙味を、今季の早稲田に見た。

生島 淳(いくしま・じゅん)プロフィル

1967年、宮城県気仙沼市生まれ。早大を卒業後広告代理店に勤務し、99年にスポーツライターとして独立。五輪、ラグビー、駅伝など国内外のスポーツを幅広く取材。米プロスポーツにも精通し、テレビ番組のキャスターも務める。黒田博樹ら元大リーガーの本の構成も手がけている。

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