【越山若水】「ウルトラシリーズ」など特撮番組を手がけた沖縄出身の脚本家上原正三さんが、82歳で亡くなった。同郷の脚本家金城哲夫さんとともに、少数者への差別や虐げられた人々の苦しみを、子ども向けの作品にも反映させた異色の作家だった▼「帰ってきたウルトラマン」の第33話「怪獣使いと少年」では、無抵抗な宇宙人が町の人々の偏見から差別され、殺害される。1923年の関東大震災の際、「朝鮮人が暴動を起こした」などのデマで、朝鮮人が市民により虐殺された事件が念頭にあったという▼自伝小説「キジムナーkids」は、太平洋戦争の地上戦で深く傷つきながら戦後の混乱をたくましく生きた沖縄の子どもたちの連帯観や平等意識を描いた。沖縄人としての誇りがにじんだ作品だ▼一昨年、劇団民藝が早世した金城さんの半生を軸に、上原さんとの交流も描いた「光の国から僕らのために―金城哲夫伝」を上演。福井公演もあり、坂井市出身のみやざこ夏穂さんが上原さん役を熱演した。沖縄と本土の間の懸け橋になろうとしながら果たせなかった金城さんの思いを上原さんは重く受けとめていた▼2人の脚本家はウルトラシリーズで相手を「悪」と決めつける一方的な「正義」を排し、勧善懲悪とは異なる世界観も作品に込めた。米国とイランがお互いを非難し対立が収まらない今日、胸に響くメッセージだ。

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